EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
成形品中に含まれるSVHC物質とは、「candidate list」に記載された物質、すなわち「認可対象候補物質」を言います。初めてのcandidate list(15物質)が化学品庁のWebサイトに公表されています(2008.10.28)。
認可対象候補物質の届出に関しては、REACH規則第7条2項に、以下の通り規定されています。
成形品の生産者または輸入者はいずれも、以下の条件が満たされる場合には届出の義務があります。
しかし、下記の除外要件があります。
お問合せにある条件(1)、(3)より、SVHC物質αの濃度が0.1wt%を超え、輸入者当たり1t/年を超えるので、a)およびb)の条件に合致し原則として届出が必要ですが、除外条件がありますので検討します。
(1)用途の登録済みの物質
条件(2)と(3)より、濃度が0.1wt%を超え、輸入者当たり1t/年を超えている場合でも(お問合せの中では用途登録済みのトン数は明確ではありませんが)、用途がすでに登録されているので、除外要件d)により届出の必要はありません。
(2)用途の未登録の物質
条件(3)と(4)により、b)の濃度条件には合致しますが、輸入者あたり1t/年未満であるので、届出要件a)には該当しません。したがって、届出の必要はありません。
以上の通り、輸入者によるSVHC物質αの届出は、物質の用途の登録の有無にかかわらず必要はないと思われます。すなわち、輸入者当たり年間1tを超えるSVHC物質(濃度0.1wt%を超える)であても、その中で物質がすでに登録されているものがあれば、成形品の輸入者の届出トン数は、その分を減じた量が1t以上の場合に届出義務があります。
お問合せに直接関連しませんが、除外要件c)を適用するには、廃棄を含むすべてのライフサイクルの段階で「暴露がない」ことを証明しなければなりません。届出をするよりも証明することの方が困難と思われますので注意ください。
届出のほかに、SVHC物質に関しては.濃度が0.1wt%を超える場合には、トン数にかかわらず情報伝達の義務がありますので注意ください。これについては、コラムREACH規則に見る情報伝達(2008.10.31)を参照ください。