EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則の第33条では、SVHC(高懸念物質)を0.1w%を超える濃度で含有する成形品については、サプライチェーン内の川上企業から川下企業に対して最低限当該物質名を含む当該成形品を安全に使用するのに十分な情報を伝達する必要があります。
また、ご指摘のとおり2008年10月28日に欧州化学品庁はREACH規則の附属書XIVに記載される認可物質の認可候補となるSVHC 15物質を特定し、認可候補物質リストとして公表しております。
さて、ご質問の閾値の0.1w%につきましては、結論から申しますと15物質の1つひとつの物質について個々に判断することになります。つまり、第33条の原文※では、01wt%を超える「物質」は「a subutance」と単数として記述されており、また「成形品に含まれる物質に関する要求事項についてのガイダンス」(環境省訳)の「8.2 高懸念物質を含む成形品かどうかの決定」でも、成形品の製造者は「成形品に含まれる物質/調剤の供給者に登録番号、入手可能であれば、候補リストに記載されそこに含まれている全てのSVHCの名称と濃度幅を要求する」との記載があり、川上企業は個々の物質の濃度に関する情報を川下企業に伝える必要があることが分かります。
※Any supplier of an article containing a substance meeting the criteria in Article 57 and identified in accordance with Article 59(1) in a concentration above 0,1 % weight by weight (w/w) shall provide the recipient of the article with sufficient information, available to the supplier, to allow safe use of the article including, as a minimum, the name of that substance.
さらに、「8.3 情報の伝達や届け出が必要かどうかチェックするためのワークフロー」では、「候補リストの物質が成形品に含まれるか確定」→「成形品に含まれる物質の濃度を確定」→0.1w%を超える濃度であれば「第33条に従って情報伝達」を行うとの記載があります。この「成形品に含まれる物質の濃度を確定」するにあたり、「8.4 SVHCの濃度の決定-異なる成分の成形品に焦点を当てて」で掲げられています計算例を参照することができますが、この計算例からも最終候補15物質の1つひとつの物質について個々に判断することが理解できます。