EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則第3条(定義)30項によると、「年間(per year)」とは、別に記述されない限り一暦年を指し、t数の算出基準は1月1日から12月31日の1年間になります。また、少なくとも3年連続で輸入され、製造された段階的導入物質の場合、「年間」の量は、直近の連続した3年間の平均生産量、もしくは輸入数量に基づいて計算されなければならないとなっています。
このように対象物質が非段階的導入物質(年間とは一暦年)か、段階的導入物質であるかによって「年間」の量の計算方法が異なります。
なお、非段階的導入物質のt数は、届出の暦年(1月1日から12月31日)の間に、その年に予測される製造かつまた輸入量となります。
したがって、質問1の年間1tの算出起点は、REACH規則で届出に関するt数算出方法が特に記述されていないため、届出の年の1月から12月になり、算出起点はその年の1月1日です。また、t数は予測量になります。
貴社がアーティクルを3年以上継続的に販売しているとすると、そのアーティクル中の届出物質が段階的導入物質であれば、2011年に届け出る場合は、2008年1月から2010年12月までの3年間の平均が必要となり、2008年1月1日が算出起点になります。
質問2については、特定された日から6カ月以内の届出が属する年の1月1日が算出起点となります。
段階的導入物質の場合は、質問1と同様、届出の属する年の3年前の1月1日を起点とした3年間の平均t数となります。
SVHCの15物質に関する情報として、2009年1月14日に、附属書XIVに掲載される認可の対象となる物質の勧告のドラフトが発表されました。2008年発表されたSVHC15物質のうち、7物質が勧告されています。2009年4月14日締め切りで、パブリックコメントが募集されました。このパブリックコメントと加盟国の意見を考慮して、ECHAは勧告のドラフトを修正し、ECHAから勧告の最終決定が欧州委員会に提出されます。
そのほかの8種類の候補物質は、今回の勧告物質に入りませんでしたが、次回以降に認可リストに入れるか検討されることになります。
詳しくは、2009年1月23日付コラム「ECHAからの最近の発表から〜附属書XIVに掲載の認可対象となる優先物質の勧告ドラフトの発表〜」を参照してください。
なお、物質が附属書XIVに掲載されると、候補リストから除かれるという情報がありますが、明確な当局の文書で確認できていません。これが確認された場合、情報提供の義務や1t以上の届出義務について新たな議論になりそうです。