EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
貴社のような商社にも、川上企業から入手した情報もとに、川下企業へ情報を伝達する義務がある一方、商社である貴社(川下企業)も川上企業に対して各種の情報をMSDS発行要求などで取得することはできます。しかし、今回のように川上企業から情報提供ができない、あるいは、拒否された場合、貴社の責任において、分析機関に分析を依頼するなりして、納入先へ情報提供することが必要と考えます。
しかし、高懸念物質の測定は測定手順が未整備なこともあり、面倒なうえ、かなりのコスト負担が予想されますので、自社での測定が現実的ではない場合が多いと思います。したがって、川上企業に対しては、測定データの添付を求める、あるいは原材料メーカーの名前や材料などの型番の提供を依頼する、サプライヤーに対しては、製造工程において、高懸念物質が混入していないかの調査(不使用証明)を依頼するなどの対応を検討してください。
また、将来的に高懸念物質の対象が拡大した場合においても、納入業者としての義務は継続して発生しますので、今後も先述したような対応を継続することが必要と考えます。高懸念物質の規制はEU域外(日本や中国における化審法など)でも存在しますので、取り扱われる製品に高懸念物質が含有しているかどうかについては、常時把握しておく必要があります。
成形品に高懸念物質を含有する場合は、一部適用除外があるものの2011年6月までには届出を済ませておく必要があります。ただし、貴社は商社ですので、EUにおける「唯一の代理人」を指定することができませんので注意してください。この場合、川上企業に登録を依頼する、あるいは、貴社のEU域内の輸入業者に、届出して貰う必要があります。なお、該当する高懸念物質が貴社の製品用途で登録されていれば(同一サプライチェーンの企業でなくてよい)、届出の義務はありません。