EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
まず、ポリマーがCLP規則上において「物質」と「混合物」のどちらの扱いになるかというご質問ですが、「混合物」と、ポリマーについて簡単に整理しますと、
とされています。
従いまして、ポリマーと混合物は異なる定義になりますので、ポリマーは、そのポリマーを構成する「物質」扱いとして対応することになります。
(1)コンパウンド前の原料レジンは、上記説明にあるポリマーに該当しますので、CLP規則上では「物質」扱いとなります。従いまして、CLP規則適用は2010年12月1日となります。
(2)コンパウンドは、原料レジンに各種顔料、染料、潤滑剤を添加されたものですから、混合物扱いとなります。混合物のCLP規則適用は2015年6月1日からとなります。
CLP規則による表示・包装につては、2010年12月1日以前に指令67/548/EECに従って上市されていた物質は2012年12月1日まで、また、2015年6月1日以前に指令1999/45/ECに従って上市されていた混合物は2017年6月1日まで、CLP規則に従って再表示・再包装する必要はありません。
なお、ポリマーを含む混合物が、例え危険有害性と分類されても、上市される形態で、吸入、摂取、あるいは皮膚との接触によって人の健康や、水生環境に危険有害性がなければ、ラベル表示は要求されていません(CLP規則第23条、附属書I(1.3.4.1))。
ポリマーについては、REACH規則のTITLEIIの「登録」とTITLEIVの「評価」の条項は適用されませんが、ポリマー、あるいは、ポリマーの混合物は、TITLEIIIの「サプライチェーンにおける情報」、すなわち、SDS等の情報提供の条項は適用されます。ポリマーの混合物、すなわち、コンパウンドについては、REACH規則31条のSDSによる情報提供が求められる場合があります。また、コンパウンドにSVHCが含まれる場合は、REACH規則第32条で規定されている、(1)REAHCの登録番号、(2)認可に関する情報、(3)制限に関する情報、(4)その他リスク管理に影響を与える可能性のある情報、については、必ずサプライチェーンの川下企業に情報伝達する必要がありますので注意が必要です。
一方で、貴社が成形品を取り扱う場合については、成形品はCLP規則の適用対象外ですので、CLP対応は不要となります。
従いまして、貴社におかれましては、取り扱う物質及び混合物の、指令67/548/EEC、指令1999/45/EC のCLP規則への移行時期、及びSVHCの含有有無に注視して適切な対応をとることが必要になります。