EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則では、ポリマーは第II編「物質の登録」および第VI編「評価」の規定は適用されません(第2条9項)。したがって、第II編の第14条で規定されている化学物質安全性評価やそれに伴う「暴露評価」は適用されないことになります。
他方、ポリマーは登録に関連する条項は適用されませんが、第IV編「サンプライチェーンにおける情報」、第VII編「認可」および第VIII編「制限」の規定は免除されていません。 特に「サプライチェーンにおける情報」については、ポリマーが以下の要件に合う場合は、安全性データ(SDS)等を伝達する義務があります。具体的な要件は以下の通りです。
ポリマーが以下のaまたはbに該当する場合には安全性データシート(SDS)を製品の受領者に最初の納品の際に提供する必要があります。
最低でも混合物中、すなわち輸出するポリマー中のすべての物質について以下の情報を伝達する義務があります。
すなわち、ポリマーそのものが危険物に分類されることは少ないと思いますが、モノマーが上述の要件に合致し、輸出するポリマーペレット中にモノマーが残存していれば、前述の情報伝達の義務があることになります。
SDSの情報要求事項には、7項の「取り扱いおよび貯蔵」や8項の「暴露管理/個人保護」があり、また、SDSの提供義務がない場合でも「適切なリスク管理に必要な有効な情報」の伝達が必要になります。
なお、10t/年以上の場合は、SDSに暴露シナリオを付属書として添付する義務がありますが、ポリマーには第14条が適用されませんため不要と考えられます。
したがって、貴社ポリマーの用途が一般的なもので川下での安全な取扱い情報をSDS等で提供が可能であれば、ご質問の輸出先の用途や使用状況の情報収集を行う必要はないと考えられます。ただし、特殊な機能性のポリマーで、輸出先の用途や使用状況が予測できないような場合であれば、それらの情報収集も必要と考えます。