EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則の第2条10項の定義で、輸入とは共同体の関税領域への物理的な導入を指す、としています。また、第2条1項(b)では、税関の監視下にあり、いかなる処理または加工も受けない、かつ、暫定的に貯蔵にある、あるいは、再輸出の目的で保税域または保税工場にある、あるいは、輸送中の物質にはREACH規則は適用しないとしています。したがい、通関前の物質には、適用されないことになります。
つぎに通関した後は、輸入に責任を持つ法的実体になります。登録ガイダンスの1.5.3.3「輸入に登録の責任があるのは誰か?」の説明ではつぎのように説明されています。
「輸入の場合は、輸入に責任をもつEU域内に設立された法的実体によって登録されなければならない。輸入に関する責任は、誰が発注し、誰が支払い、誰が通関手続きをするか等の多くの要因があるが、これで結論できるものではない。例えば、EU域内に設立された"営業代理店"が、注文書を購入者からEU域外の供給先へ送付するだけの促進的な行為(そのサービスで対価を受け取る)をするのみで、商品やその支払いに責任はなく、いかなる段階でもその所有権がなければ、REACHでは輸入者とは見なされない。営業代理店は商品の物理的は導入の責任はない。(中略)商品を輸送する運送会社は、通常、REACHの責任はない。しかし、運送会社がEU域内に設立さており、EU域内への物質の導入に責任があるような特別な契約等があれば例外である。(中略)さらなるガイダンスは、税関当局に相談のこと。」
したがい、ご質問のケースが、上述の説明の物質の輸入の責任が輸入業者にあることが明確であれば、輸入者の事業所に到着した日ではなく、通関した日を輸入日とするのが妥当と考えます。
ただ、REACHの輸入の責任がEU域内の誰にあるかは、取引形態により変わる場合もあるようですから、輸入事業者において税関当局に確認されるのがよいと考えます。
なお、年間のトン数の算出方法は、非段階的導入物質の場合は1月1日から12月31日までの暦年での合計になりますが、段階的導入物質では過去3年間の平均値となります。したがいまして、段階的導入物質については、1年の輸出量が1トンを超えても翌年の輸出量で、3年の平均値を1t未満に調整することは可能です。