EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
ELINCS届出物質はREACH登録物質と見なされますが、届出物質の製造量または輸入量が第12条で規定する上位のトン数閾値になった場合には、低位のトン数帯も含め、そのトン数帯に対応する追加情報を、第10条及び第12条に従って提出する必要があります。
ELINCS届出物質に関しても、動物試験を回避するために情報共有が求められますので、追加情報の提出にあたっても、第26条で規定する潜在的登録者として、以下の書類を提出して、同一物質の登録有無を化学物質庁へ照会する必要があります。
提出が必要な書類の内容項目はつぎのとおりです。
化学物質庁は、同一物質が登録されていない場合は遅滞なく潜在的登録者にその旨を通知し、また同一物質が12年以内に既に登録されている場合には、前の登録者の名称と所在地および前の登録者が提出した関連する調査要約書、またはロバスト調査要約書を潜在的登録者に通知することになっています。
また、第27条では12年以内に登録されていた場合の情報要求についてつぎのように規定されています。
(1)脊椎動物の試験を含む情報は必ず要求しなければならない
(2)脊椎動物の試験を含まない情報の場合は、要求することができる
したがって、上述規定に基づき、貴社の実情に合わせてご判断されるのが適切かと考えられます。
つぎに、前の登録者との情報共有については、第27条で潜在的登録者と前の登録者は情報共有のための費用を公正、透明かつ非差別的に決定するためのあらゆる努力をしなければならないと規定しており、費用分担が発生することを意味しています。そして、費用分担について合意すれば、直ちに前の登録者の完全調査報告書を引用する許可を得ることができます。
費用分担について合意できない場合は裁判所の介入となりますが、同一物質に関する情報共有については、前の登録者が登録に要した費用を公正に負担することでREACHの公平性が保たれておりますので、前の登録者からの費用請求を精査の上、適切な判断をされることをお勧めいたします
一方、12年以上前に登録されている場合であれば、第25条3項の規定により化学物質庁より無償で追加情報を得られます。