EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
CLP規則は「危険な物質の分類、包装および表示に関する指令(67/548/EEC)」と「危険な調剤の分類、包装および表示に関する指令(1999/45/EC)を統合して、2009年1月20日に発効されたもので、物質および混合物を対象とした規則です。
通常、成形品はCLP規則の対象外ですが、CLP規則第4条8項に成形品が対象となるケースについて、つぎのように記載されています。
『附属書Iのセクション2.1に規定している「火薬類」は成形品であっても上市する前に物質および混合物のルールにしたがって、分類、表示および包装されなければならない』
貴社が製造している食品包装用フィルムであるCPP(延伸していないポリプロピレンフィルム)およびOPP(二軸延伸したポリプロピレンフィルム)は、ポリプロピレンを原材料として製造された成形品となります。また、ポリプロピレン自体は可燃性を有していますが、附属書Iのセクション2.1で規定している火薬類の6分類基準のいずれにも該当しないものと判断できます。したがって、「火薬類」には該当しない成形品となりますので、CLP規則の対応は不要との結論になります。さらに、SVHCを含有していないのであればREACH規則の対象にもなりません。
なお、原材料のポリプロピレンは酸素や紫外線の影響による劣化を受けやすい性質を持っています。そのために酸化防止剤や光安定剤等が添加されます。これらの添加剤の中には、CLP規則で危険有害性と分類される場合が考えられます。このような添加剤が添加されたポリプロピレンがCLP規則により危険有害性に分類されなくても、REACH規則では一定の条件に該当するとき(例えば、人の健康または環境に有害な物質を少なくとも一物質あたり1wt%以上含有するなど)安全性データシート(SDS)の提示が必要となります。原料ポリプロピレンを輸出する場合にはSDSの提供について注意が必要です。