REACH規則では、ご質問の布製バッグ (PVCコーティングした布素材で製作)には成形品の義務が適用され、現時点では、コーティングに使用さるPVCのポリマーそのものについては規制されていません。
REACH規則では、成形品が以下の条件に該当する場合、登録および届出の義務(第7条)と情報伝達の義務 (第33条)があります。
- 登録が必要な場合
成形品中に意図的放出物質がある場合に、放出物質の登録が必要です。
布製バックの場合、一般的には成形品から意図的に放出する物質は含まれていませんので登録の必要はありません。
- 届出が必要な場合
成形品中に重量比0.1%以上のSVHC(認可候補物質)が含まれていて、製造者・輸入者当たり年間1t以上である場合はそのSVHCを欧州化学品庁 (ECHA)に届出が必要となります。
一般的にコーティングに使用されるPVCには柔軟性を加える目的で可塑剤が添加されます。可塑剤としては多くの種類がありますが、その中でフタル酸ジ-n-ブチル(DBP)、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジイソブチル(DIBP)のフタル酸エステル4物質はSVHCに特定されています。
従い、上述のフタル酸エステルが成形品中に重量比0.1%以上の濃度で含有され、年間1t以上であれは、届出対象となります。
上述の4物質については、2010年12月1日以前、SVHCとしてのCandidate Listへ収載されていますので、2011年6月1日までに届出を行う必要があります。
届出については、以下のいずれかの場合には届出は不要となります。
- 成形品の使用、廃棄を含めて全てのライフサイクルにおいて、人や環
境に暴露されることがない場合
- 次に記載する条件でその用途で既に登録されている場合
- 登録されたSVHCと成形品中のSVHCが同一であること
- 登録された用途が成形品の用途と同じであること
ただし、成形品の使用から廃棄までのライフサイクル全体を通して人や環境への暴露の厳密な管理を行ったり、既登録物質やその用途と自社の物質や成形品の用途との同一性を客観的に確認することは困難な場合もあります。そのような場合には届出を行うことが1つの選択肢になると思われます。
- 情報伝達が必要な場合
成形品中に重量比0.1%以上のSVHCが含まれている場合は、年間の製造量、輸入量にかかわらず、成形品の供給者は、利用可能な成形品の安全な使用に十分な情報(少なくとも物質名を含む)を受領者に提供しなければなれません。
また、消費者からの要求に対し上述と同様な情報を要求から45日以内に無償で提供する必要があります。