EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
ご質問の包装紙は、REACH規則では成形品と区分されます。成形品については、SVHCを0.1%以上含有する場合に、義務が生じます。
アクリルアミドは2010年3月30日にSVHCリストに収載されています。成形品中に0.1%以上含有する場合、川下ユーザーや一般消費者から要求があれば、利用可能な成形品の安全な使用をするのに十分な情報(少なくとも物質名を含む)を提供する必要があります。さらに、EU域内での生産量、輸入量が年間1t以上になると欧州化学品庁(ECHA)に届出の義務があります。
なお、REACH規則のSVHCとして特定されているのは「アクリルアミド」モノマーです。重合したポリマーは、SVHCとしての義務の対象外です。
「アクリルアミド」が紙増強剤として使用されているとのことですが、一般には増強剤として利用されているのはモノマーではなくポリマーと理解しています。紙の増強剤と使用されているが、「アクリルアミド」モノマーであるのか、ポリアクリルアミドなのか、供給先に確認をして対応されるのがよいと考えます。ただし、ポリマー中に未重合のアクリルアミド(モノマー)が残存する場合は、そのモノマー分が規制の対象となります。
包装紙の場合であれば、プリントされたインク等を含めた包装紙全体に対し、重量比でどの程度アクリルアミド(モノマー)を含有しているか、確認されることが必要と考えます。
また、アクリルアミドが、CLP規則の分類で発がん性カテゴリー1B、変異原性カテゴリー1Bであることから、エントリー#28、#29、#60に附属書XVIIの制限物質として収載されています(67/548/EEC分類では、どちらもカテゴリー2に分類されています)。
制限の条件は、エントリー#28、#29では同じで、物質、混合物からなる一般消費者向けの製品には0.1%以上の含有が禁止されています。プロフェッショナルユーザー用には、「プロフェッショナルユーザー限定」の表示をわかりやすく、かつ消えないように表示しなければなりません。
また、#60では2012年11月5日以降、漆喰用に物質や0.1%以上の混合物中の成分としてアクリルアミドの使用が禁止されます。