EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
1,2- ベンゼンカルボ酸、炭素数7-11の分岐および直鎖アルキルエステル類(DHNUP)はプラスチック製造時に使われるフタレートの一種で、主に電気通信機器の絶縁体用の可塑剤等に使用されている物質です。
DHNUPは生殖有害性があるCMR物質であるということから2011年6月20日にcandidate listに収載され、認可対象候補物質ということになりました。
DHNUPはDiisononyl phthalateのように単独の物質ではなく、UVCB物質(Unknown or Variable Composition Complex Reaction Products Biological Materials:構成が不明もしくは変化する物質、反応生成物および生体物質)になります。そのため、構成物質個々の成形品中の濃度が0.1wt%以下だとしても、UVCB物質自体が認可対象候補物質とされているので、構成物質全体を含めた成形品中の濃度が0.1wt%以上だと、REACH規則第7条と第33条の義務の対象となると考えられます。
具体的にはDHNUPは以下に記すフタル酸類に属する6つの物質の混合物だとされています1)。
CAS番号 | 物質名 |
3648-20-2 | 1,2-Benzenedicarboxylic acid, diundecyl ester |
68515-44-6 | 1,2-Benzenedicarboxylic acid, diheptyl ester, branched and linear |
68515-45-7 | 1,2-Benzenedicarboxylic acid, dinonyl ester, branched and linear |
111381-89-6 | 1,2-Benzenedicarboxylic acid, heptyl nonyl ester, branched and linear |
111381-90-9 | 1,2-Benzenedicarboxylic acid, heptyl undecyl ester, branched and linear |
111381-91-0 | 1,2-Benzenedicarboxylic acid, nonyl undecyl ester, branched and linear |
なお、REACH規則 附属書XVの「IDENTIFICATION OF SVHC」ではDHNUPの別名として以下の物質名が記載されています。
これらの物質名が記載されている物質はDHNUPに該当し、認可対象候補物質となりますので注意が必要です。