EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則附属書XVIIの有機スズ化合物の制限については、委員会規則(EU)No 276/2010(2010年3月31日)で以下のように修正されています。
5. Dibutyltin (DBT) compounds: (a) Dibutyltin (DBT) compounds shall not be used after 1 January 2012 in mixtures and articles for supply to the general public where the concentration in the mixture or the article, or part thereof, is greater than the equivalent of 0.1 % by weight of tin.
(以下省略)
ここでは混合物、成形品またはその一部がスズの重量比0.1%以上の濃度の場合、ジブチルスズ(DBT)化合物は、一般公衆向けの混合物または成形品には2012年1月1日以降使用してはならないとあります。この条文より、一般公衆向けではなく産業用途の商品であるならば制限を受けないことがわかります。
ただし、以下の場合は規制対象外となります。
●2012年1月1日以前にすでに上市されている場合や、委員会規則No.1935/2004の規制を受けた物質や製品
●以下の成形品や混合物では2015年1月1日までは適用されない
-1成分型と2成分型のRTVシーラント(シーリング剤)と接着剤
-製品に使用する時には触媒として使用するDBT化合物を含んだ塗料と被覆剤
-軟質ポリ塩化ビニル(PVC)単独か、硬質PVCと共押出されて表面を覆われている軟質PVC
-屋外用途のために安定剤としてDBT化合物を含んでいるPVCコーティングされた織物
-屋根や正面を覆う製品と同様な野外の雨樋、溝およびその用品
ご質問のスズ換算で重量比0.1%(1000ppm)以上の濃度のDBTを含有する透明PVCは、一般公衆向け商品に用いられる場合は、上述の委員会規則(EU)No 276/2010(2010年3月31日)より規制対象であり、使用することができません。
産業用途であれば、現在はREACH規則の規制対象外となります。しかし、客先やその川下企業で、そのPVCが製品・装置等に組み込まれ一般公衆向け商品に用いられるような場合があれば規制対象となりますので、代替品への変更等の措置が必要です。
DBTはCMR物質(生殖毒性カテゴリー2)に分類されていますので、今後、DBT代替物質の開発に伴い、使用制限が厳しくなっていくことも予想されます。今後の傾向を考慮して、あらかじめ代替材の調査、検討を進めることや、REACH規則の改正動向について継続して注視することをお勧めします。
貴社製品の用途について、客先からもご確認のうえ対応方法を検討することをお勧めします。