EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
エポキシ樹脂は、接着剤のほかにその優れた特性(接着性、強靱性、耐熱性、電気絶縁性、耐食性等)を活かし、広く産業分野に使用されています。例えば、パソコンなどの電子機器の部品材料や、自動車や建築物などの塗料や接着剤、さらには、カーボンファイバー製造時の接着剤としても使用されています。
エポキシ樹脂は、架橋ネットワーク化前のプレポリマーに硬化剤を混合して熱硬化処理を行うと製品として完成します。一般的にはプレポリマーも製品化した樹脂も両者ともエポキシ樹脂と呼ばれますが、今回のご質問では、「エポキシ樹脂の硬化物」ということですので、硬化後のエポキシ樹脂として説明します。
貴社のエポキシ樹脂の硬化物 が、REACH規則では混合物なのかあるいは成形品なのかを正確に判断するには、以下のREACH規則における第3条(定義)のどちらに当てはまるかを検証する必要があります。
さらに具体的な判断基準として、REACH規則のガイダンス文書「成形品中の物質の要求事項のガイダンス」1)にある判断フローにある6番目のステップの以下の設問があります。
ご質問の貴社製品(エポキシ樹脂細粒)が、単に別の素材と混合するなど、化学反応を伴わない軽加工によって最終製品を製造するものとしますと、化学組成よりも、形状・表面状態が最終製品にとってより重要であると考えられるため、成形品であると判断できます。
しかし、最終製品を製造する過程で何らかの化学反応を起こす場合には、化学組成がより重要であり、混合物として判断される可能性があります。
したがいまして、貴社製品の特性や川下ユーザーが最終商品にするための加工条件などの情報を基に、上述のREACHガイダンス文書などを参考にしながら独自に判断する必要があります。また判断が困難な場合には欧州化学品庁(ECHA)に確認することも必要と思います。
なお、成形品と判断された場合は、以下のREACH対応が必要となります。
詳細は「成形品の義務」をご参照下さい。
また、エポキシ樹脂の硬化剤として使用される、4,4'-ジアミノジフェニルメタンは認可対象候補物質(SVHC)に特定され、さらに2009年6月1日に欧州化学品庁から認可対象物質として勧告されています2)。
もし貴社の製品が混合物と判断される場合、製品に認可対象物質を使用する場合には、使用量にかかわらず欧州化学品庁への認可申請が必要となりますのでご留意下さい。
認可についての詳細は「REACH規則の基礎のきそ」にある「認可と制限」をご参照下さい。
参考資料
1)http://guidance.echa.europa.eu/docs/guidance_document/guidance_sia.PDFM
http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/reach_guidance2.pdf(和訳)
2)/well/reach/column/090605.html