EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則では、年間1t未満の物質は登録の義務はありません。しかし、1t未満でも危険有害性の物質について、REACH規則やCLP規則〔(EC)No1272/2008〕で、いくつかの義務があります。それらの義務を項目ごとに説明します。
EU域内における化学物質の分類と表示のインベントリーを作るため、EU域内の化学品の製造者及び輸入者は、2010年12月1日以降、化学物質の分類と表示を上市後1カ月以内にECHAに届けること(CLP届出)が義務付けられています。
これまでは当局による一部の化学物質については、調和された分類・表示のリストとして公表されていました。CLP規則の発効により、事業者が上市する物質について、自ら分類を行うことが義務付けられました。年間1t以下でも、販売量に関係なく以下の物質の分類の届出が必要となっています。
ただし、唯一の代理人により、REACH登録の一部として、既に分類・表示の届出が行われている物質については、輸入者の届出が必要です。
(1)安全データシート(SDS)
物質または混合物に含まれる物質が、下記の危険有害性の基準に該当する場合は、SDSを遅くとも最初の出荷時までに書面または電子データにより川下企業に提供する義務があります。
(2)成形品中のSVHC
成形品にSVHCが0.1wt%を超えて含有する場合は情報伝達の義務があります。川下企業に対して物質名と安全に使用するための十分な情報を伝達する義務があります。また、消費者から情報提供要求には45日以内に無償で応える必要があります。
REACH規則の附属書XIVに収載される認可対象物質は、量に関係なく使用の認可申請が必要です。認可申請には期限があり、日没日の少なくとも18カ月前までに認可申請の手続きが必要です。
ただし、認可申請の行えるのはEU域内の製造者、唯一の代理人、輸入者、川下企業だけです。認可対象物質が含まれる成形品をEU域外で製造しEU域内に輸入する場合は認可は不要です。
物質を製造、使用または上市するとき、人や環境に容認できないリスクがあり、EU全域で対処が必要と判断されるとき、制限条件をつけたり、使用を禁止する措置が取られたりします。附属書XVIIにリストアップされている制限条件に合致しているとき、製造、上市および使用が禁止されます。