EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
EUバイオサイド規則:(EU)No528/2012(BPR)の解釈は、2012年12月に欧州委員会の環境総局がまとめたNote For Guidance 「Frequently asked questions on Treated article」(Q&A385参照)が参考になります。
まず、「バイオサイド製品」と「Treated article」はBPR第3条で以下のように定義されています。
上述の「Treated article」の定義についてBPRのFAQでは以下のように説明・解釈しています。
ご質問の「Treated article」に直接自社でバイオサイド処理した場合だけが規則の対象になると考えるかについて同FAQを参考に考察します。
「複合体の成形品」の項で以下の記載があります(同FAQの15ページ)。
BPRにおいて「Treated article」は、1つもしくはそれ以上のバイオサイド製品を処理するか、もしくは意図的に組み入れた物質・混合物もしくは成形品であると定義しています。従って、車、船、飛行機などを構成する構成品である処理された成形品はBPR第58条の対象となります。
一方、特に複雑な成形品では、(サプライチェーンの上流段階のような)早い段階で処理された場合には識別が難しいと認識されているため、実用的な運用では、人や環境が処理された構成品に暴露されやすい処理された成形品を集中して管理することになります。
また、同FAQの「製造工程からの残留物」の項で以下の記載があります。
例えば、印刷装置で表面処理されたバイオサイド製品の残留物が残っている紙のように、製造装置の一部の製造プロセスで使用された殺菌処理の残留物である活性物質を含んだ成形品はBPRには該当しない。
Treated articleの定義は「処理された」または「意図的にバイオサイド製品が組み込まれた」であり、製造工程からの残留物がある成形品の場合は、バイオサイド製品が処理に使われていないし、意図的にも含んでいないと判断しているためです。
以上より、基本的には直接自社で処理した場合だけがBPRに該当しているとの解釈はできず、サプライチェーンの上流まで遡って考える必要があります。
一方、サプライチェーンの上流の製造工程での残渣物などのように適用されない場合もあります。