EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
モノマーとポリマーに関連する登録義務については、次のように規定されています。
【REACH規則第6条3項(環境省仮訳)】
ポリマーの製造者又は輸入者はいずれも、以下の2つの条件が満たされる場合には、サプライチェーンの川上の行為者により登録されていないモノマー物質又は他のいかなる物質については、化学物質庁に登録を提出しなければならない。
- ポリマーが、モノマー単位と化学的に結合した物質の形態で、重量比2%又はそれ以上のモノマー物質又は他の物質からなっていること
- モノマー物質又は他の物質の合計量が、年間1トン以上であること
他方、ご質問のセルロースは天然に産出するポリマーです。
「モノマーとポリマーに関するガイダンス」では、天然ポリマー、および、化学的に変性された天然ポリマーについて以下のように説明されています。
3.2.1.3 Case of a natural polymer or a chemically modified natural Polymer」からの回答者抄訳:
「天然ポリマーは、抽出される過程に無関係に、自然に生じる重合過程の結果できるポリマーとして理解される。
REACH規則第2条9項に従えば、天然ポリマーであろうとなかろうと、第3条5項の定義に合致するいかなるポリマーも登録の必要はない。すなわち、天然ポリマー中のモノマー単位を形成する物質や化学的に結合したその他の物質は、“単離されない中間体(non-isolated intermediates)”として取り扱われ、登録の必要はない。
化学的に変性された天然ポリマーの場合において、天然起源のブロックを形成するモノマー単位物質や他の化学的に結合した物質もまた“単離されない中間体(non-isolated intermediates)”として扱われて登録の必要はない。
しかし、天然ポリマーを変性のために使用される第6条の1項と3項の条件に合致するモノマー物質や他の物質については、サプライチェーンで登録されていない限り登録の必要がある。これらの登録の義務は、化学的に変性された天然ポリマーそのものが第3条5項のポリマーの定義に合致しているという条件で適用される」
上記のガイダンスの説明から、ご質問の場合、グラフトに使用されるモノマーは登録の対象になりますが、グラフトポリマーそのものの登録は不要です。登録の義務の対象になるのは、上記説明の第6条3項に該当する条件に合致するグラフト重合に用いるモノマーや化学的に結合するその他の物質です。それらの物質がポリマー中に重量比で2%以上含まれ、年間1トン以上であれば登録が必要です。