EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
トナーが充填されたトナーカートリッジは、REACH規則の成形品には該当しません。カートリッジと言われる専用の容器は成形品ですが、その容器に入ったトナー(粉末)は、プラスチック粒子(レジン)、黒鉛・顔料などの混合物になります。すなわちトナーカートリッジは成形品である容器 (カートリッジ) と粉末成分 (トナー) である混合物に分けられます。
カートリッジに充てんする詰め替え用のトナー(粉体)のみを、ビニール袋やカートン梱包などにより輸出するときは、粉体(混合物)の構成成分である個々の物質を、その含まれる物質量により登録する義務が発生します。すなわち、混合物の構成成分である物質が、輸入業者あたり年間1トン以上の場合はその物質の登録が必要です。1トン未満の場合は登録の義務はありません。
なお、当該物質がサプライチェーンの川上企業によって、貴社の用途で登録されていれば登録の必要はありません。しかし、サプライチェーンの川上企業で登録されていない場合は、EUの輸入者もしくは貴社が唯一の代理人を指名していれば、当該代理人による登録が必要になります。
(1)情報伝達義務
輸出するトナーが、一定の危険有害性の基準に該当する場合、REACH規則第31条1項により安全データシート(SDS)を、出荷時までに書面または電子データにて川下企業に提供する義務があります。
(2)分類と届出の義務
CLP規則では、対象物質が以下に該当すれば、製造者または輸入者による分類・表示の届出義務があります。
ただし、登録の一部として提出されている場合や、分類・表示の届出が行なわれている場合には届出の必要ありません。
CLP規則での届出義務はEU域内の製造者・輸入者(唯一の代理人含む)にありますので、輸出時に情報提供を要望される可能性があります。トナーの構成成分(顔料など)として、SVHCを0.1wt%以上含有する場合には分類・表示の届出が必要になります。