EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則は、EC条約第174条の「環境政策の予防原則」の条項に基づいて制定されています。REACH規則第1条第3項の条文には下記の記載があります。
「製造者、輸入者及び川下使用者が、人の健康又は環境に悪影響を及ぼさない物質を製造、上市又は使用することを確実にするとの原則に基づいている。予防原則が、本規定を支持する。」(環境省仮訳)
また、REACH規則第5条には『NO DATA NO MARKET』(データなければ、上市なし)の原則についての記載があります。
「第6条(物質そのもの又は調剤に含まれる物質の一般的な登録の義務)、第7条(成形品に含まれる物質の登録及び届出)、第21条(物質の製造及び輸入)及び第23条(段階的導入物質に対する特定の規定)を条件として、要求されている場合には、本篇の関連する規定に従って登録しないときは、物質そのもの、調剤に含まれる物質又は成形品に含まれる物質を欧州共同体内で製造又は上市してはならない。」(環境省仮訳)
この原則によれば、CL(Candidate List)物質等の製品含有化学物質情報の入手が困難な場合は、EU域内での上市はできないことになります。今回の質問の様に、国内顧客との取引の場合には、国内のビジネス取引上の対応となります。ここでは下記の2事例が想定されますので、その2事例について解説致します。
ご質問のケースでは、生産中止に伴い、製品含有化学物質情報が困難な状況となってしまいましたが、本来は、このような状況に陥らないよう、サプライヤとの取引開始時等、生産中止の前に製品含有化学物質情報を入手しておくことが必要です。
成形品中の物質に関するガイダンス1)でも「5章 成形品中の物質についての情報入手」で、サプライチェーンでの情報伝達が最も重要であるとし、その留意事項等が示されていますので、ご参照ください。
1)http://echa.europa.eu/documents/10162/13632/articles_en.pdf