EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
GHS分類で危険有害性のある化学品については、日本をはじめ一部の例外を除き、先進諸国においてラベル、SDSの義務が課されています。
以下に、ご質問にありますEU、米国及び中国の危険化学品の分類、ラベルおよびSDSの提供義務につきご説明いたします。
< EU >
CLP規則第1条ならびに第4条(1)において、EU内で製造・流通される物質・混合物について危険有害性分類の実施が義務付けられています。欧州化学品庁のSDSに関するガイダンス(2)に、以下の化合物がラベルおよびSDSの提供の義務対象とされています。
(1): http://echa.europa.eu/web/guest/regulations/clp/legislation
(2): http://echa.europa.eu/documents/10162/13643/sds_nutshell_guidance_en.pdf
<米国>
米国のGHS分類、ラベル・SDSは、労働安全衛生法(3)(OSHA)をメインとしその下位法の危険有害性周知基準(HCS)(4)において、化学品の製造者、輸入者の危険有害性に基づく分類、ラベル、SDSの発行ならびに化学品を扱う職場を有する雇用者に対してラベル、SDSの職場への設置が義務付けられています。
対象物質は、以下のようになっています。
(3): https://www.osha.gov/
(4): https://www.osha.gov/dsg/hazcom/HCSFinalRegTxt.html
https://www.osha.gov/dsg/hazcom/index.html
<中国>
中国のGHS分類、ラベル・SDSに関する主要な関連法規は「危険化学品安全管理条例(国務院令第591号)」で、危険化学品の生産、経営、貯蔵、使用、輸送などの取扱を目的としています。対象物質は危険化学品で「危険化学品目録2015」(5)に収載されている化学品について、国家標準「化学分類および表示規範:GB30000.2-2013~GB30000.29-2013」、「化学物質安全ラベル規則:GB15258-2009」およびその他の国家標準の要求事項に沿った分類を実施し、SDS、ラベル表示の要求事項の遵守が規定されています。
(5): http://www.chinasafety.gov.cn/newpage/Contents/Channel_21111/2015/0309/247028/
content_247028.htm
(参考)
中国危険化学品目録2015の交付に関して、J-Net21コラムに掲載された記事のURLを以下に参考として記載します。
/well/reach/column/150403.html
/well/reach/column/150522.html
その他、東南アジア諸国においては、危険有害性化学品のGHS分類とラベル・SDSを義務付ける法制度が整備・運用がされています。規制の内容はEU法に類似しているものの、各国で微妙な差異があります。あらかじめ調査が必要な化学物質が定まっていれば、The ASEAN - Japan Chemical Safety Database(AJCSD)(6)を活用し、東南アジア諸国における化学物質規制情報やGHS分類結果、リスク情報、有害性情報等を入手することもできます。