EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
REACH規則では、「No Data,No Market」の原則に基づき、製造者・輸入者ごとに年間1t以上の物質の登録(混合物の場合は構成物質、ポリマーの登録は不要ですがポリマー中に結合した状態で2wt%以上含まれる構成モノマーや成分)が求められています。予備登録された物質については段階的に登録対象が拡大している状況ですが、2018年5月31日の第3次登録期限以降は、原則EU域内で流通する化学物質・混合物中の物質には原則登録番号が付与されることになります。
また、REACH規則第31条ではSDSの要件を定めています。SDSの記載要件を定めたREACH規則附属書II1)において、登録物質の登録番号の記載を規定し、単一物質の場合には「1.物質または混合物および会社の特定」の1.2項で、混合物の場合には「3.組成または成分に関する情報」の3.2.4項で取り上げられています。
ご質問の製品(混合物)のSDSですが、製品がCLP規則に基づく分類基準に合致している場合にはSDSの提供が義務付けられます。その場合、SDSの「3.組成または成分に関する情報」への構成物質の記載は、少なくとも混合物の分類に寄与し、REACH規則附属書IIの3.2.1項の要件に該当する物質については必須となり、名称や濃度等と共に登録番号を記載することが必要となります。一方、要件に該当しない場合には物質の記載は任意となりますが、SDSの記載に関するガイダンス(第3.1版)2)によると、任意記載の場合であっても、記載する以上は、入手している登録番号等、同様の情報の記載が必要となります。
このようにご質問の製品の構成物質がREACH規則附属書IIの要件に該当するか否かや構成物質の記載状況によって、登録番号の要否は異なってくると言えます。
なお、REACH規則附属書IIの3.2.4項では、次の条件を満たす場合には、登録番号のうち、購入元を特定する情報(登録番号の下4桁)を非開示にすることができます。
また、1t未満や、附属書IVや同Vに該当する物質等登録が免除されている場合、2018年5月の第3次登録期限までに登録すればよい100t未満の段階的導入物質で等、未登録の物質については、当然登録番号はないため、混乱を避けるためにSDSに登録番号がない理由を記載することが推奨されています。