ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

Q
2016年10月21日更新
Q.485 複数国に化学品を輸出している場合、1つの化学品に各国のラベル要件に応じて言語や表示内容が異なる複数のラベルを貼付してもよいのでしょうか?

化学品のラベルに関する世界的に統一されたルールは、GHS(Globally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals(化学物質の分類・表示の世界調和システム))として国連により定められています。現在のGHS最新版は2015年9月に公表された第6版であり、国連のホームページで公開されています。1)

また、環境省のホームページに和訳2)が公開されています。

貴社製品を上市する国が別の方法を規定しない限り、GHSラベルは、化学品を上市する国の公用語で記載されなければなりません。また、GHSの第1部4章5項「翻訳」では、「文言の使い方で理解度が異なる。翻訳する際に分かりやすさを保ちつつ、同じ意味を伝達しなければならない」とされていますが、GHSでは言語が異なる複数のラベルの貼付に関する項目は見当たりません。

しかし、同一ラベルに複数言語を表記することを許して国がありますので、貴社が輸出される国が独自に定めるラベル表記要件を確認されることをお勧めします。

例えば EUのCLP規則では第17条2項に多言語でのラベル貼付を認める規定があります。また、米国では、危険有害性周知基準(HCS: Hazard Communication Standard)1910.1200(F)3)でラベルに関して、「英語で(適切であれば他の言語が含まれてもよい)」としています。

また、物質によっては輸出先の国により分類方法が異なる場合(例えば、アクリルアミドについてはEUではECHAの分類で発がん性は区分1B、変異原性は区分1Bでですが、韓国の環境部の分類では、どちらも区分1です。)がありますので、翻訳するだけでは各国のルールに準拠できない可能性もあります。ラベルの内容を単に各国語に翻訳するだけではなく、輸出先のラベル・SDSに関する法規制の確認が必要となります。

1)国連GHSウエブサイト
2)環境省GHS情報ウエブサイト
3)米国危険有害性周知基準(HCS)ウエブサイト

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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