ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

Q
2016年10月28日更新
Q.486 ラベルやSDSの除外条件である「事業者(労働者)による取扱いの過程において固体以外の状態にならず、かつ、粉状又は粒状にならない製品」は、化管法と安衛法で同一の定義になるのでしょうか?

化管法の定義では、「事業者による取扱いの過程において固体以外の状態にならず、かつ、粉状又は粒状にならない製品」とされ、安衛法の定義では「労働者による取扱いの過程において固体以外の状態にならず、かつ、粉状又は粒状にならない製品」とされています。上記の法令の定義から、安衛法と化管法で適用除外になる固形物(固体)の定義は同じと考えられます。ただし、対象とする製品、果たすべき義務が異なりますので、以下に取り上げます。

【化管法】

化管法のラベルについては努力義務であるため、固形物の適用除外では、SDSの提供義務が除外されます。適用除外とされる固形物とは、「事業者による取扱いの過程において固体以外の状態にならず、かつ、粉状又は粒状にならない製品」を指します。より具体的には、事業者の取扱いの過程で溶解・溶融・蒸発をせず、また、粉状や粒状となって環境中に排出されない製品です。

例えば、指定化学物質を規定含有率以上含有しており、かつ事業者が熱を加えて一部溶融して加工する製品や切断・研磨等を行って切削屑等が発生するような製品については、固形物に該当せず、SDSの提供義務及びラベルによる表示の努力義務があります。(経済産業省HP・「化管法SDS制度に関するQ&A」問30、問31を参照1)

【安衛法】

 適用除外とする固形物は、安衛法第57条(表示等)及び第57条の2(文書の交付等)にある 「主として一般消費者の用に供される製品」とされ、その具体例として「労働者による取扱いの過程において固体以外の状態にならず、かつ、粉状又は粒状にならない製品(工具、部品などいわゆる成形品)」とされていいます。これらについて、ラベル表示ならびにSDSの交付が義務付けられていません。(厚生労働省 化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係)のQ4、Q32を参照2)

なお、平成28年6月から施行されている安衛法の一部を改正する法律では、固形物のラベル表示の適用除外規定が設けられました。ラベル表示の義務が適用されないのは、「令第18条第2号の厚生労働省令で定める物のうち、運搬中及び貯蔵中において固体以外の状態にならず、かつ、粉状にならない物であって、危険性又は皮膚腐食性を有しないもの」です。ただし、この場合、固形物の適用除外はラベル表示のみで、SDSの提供義務が継続することには注意する必要があります。また、安衛令別表第一に掲げる危険物、可燃性の物等爆発又は火災の原因となるおそれのある物や、酸化カルシウムや水酸化ナトリウムのような皮膚腐食性を有する物については、固形物であっても対象外とされています。

1)経済産業省 化管法SDS制度に関するQ&A
2)厚生労働省 化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係)

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

関連リンク