ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

Q
2016年12月22日更新
Q.490 日本のみで販売している混合物を韓国に輸出する予定です。現在は国内法に対応したラベル・SDSを作成・提供していますが、日本用のラベル・SDSから韓国用ラベル・SDSを作成するにあたっての注意点を教えてください。

日本ではラベル・SDSはGHSを導入したJISZ7253に準拠して作成すれば、基本的には法的要求項目は順守することになりますが、化管法、安衛法では項目によっては、個別に記載内容を規定しています。
 他方、韓国では、産業安全保健法(以下、産安法)でラベルとSDSを、化学物質管理法(以下、化管法)でラベルの規定がされています。両方で、項目により、それぞれ記載内容を規定しています。
 ラベルの貼付義務者、SDSの提供義務者は、日本、韓国の何れの国でも、原則、化学製品の提供者で、言語は公用語、すなわち、韓国ではハングルで作成することが必要です。日本から輸出する場合は、ラベル・SDSの作成に必要な情報を提供することが必要であり、一般的には輸出者側でハングルでラベル・SDSを作成されるのが良いと考えます。

以下、ラベルとSDSについて、韓国と日本の要求事項の異なる点について説明します。
 なお、韓国の分類、ラベル、SDSの詳細内容は下記で規定されています。

  • ア)産業安全保健法:「化学物質の分類・表示および安全データシートの基準(雇用労働部告示第2016-19号)」
  • イ)化学物質管理法:「化学物質の分類及び表示に関する規定(国立環境科学院告示第2016-22号)」
1.ラベルについて

ラベルの記載項目は、韓国の両法ともJISZ7253と同じ下記の6項目です。

  • 化学品の名称
  • 注意喚起語
  • 絵表示
  • 危険有害性情報
  • 注意書き
  • 供給者情報

この内、化学物質管理法では、混合物の化学品名称について、製品名の他に、有害化学物質を含有している場合はその名称と含率を記載する必要があります。なお、従来、日本の安衛法ではラベルには指定された640物質について、その名称を記載する必要がありましたが、平成28年6月1日から記載しなくてもよいことになりました。

2.SDSについて

SDSについては、韓国では産業安全保健法で規定されています。記載項目は、JISZ7253と同じ下記の16項目です。

  • (1)製品及び会社情報
  • (2)有害性・危険性
  • (3)構成成分の名称及び含有量
  • (4)応急措置
  • (5)火災時の措置
  • (6)漏出時の措置
  • (7)取扱いおよび保管
  • (8)暴露防止及び保護措置
  • (9)物理化学的特性
  • (10)安定性および反応性
  • (11)有害性情報
  • (12)環境影響
  • (13)廃棄上の注意
  • (14)輸送に必要な情報
  • (15)適用法令
  • (16)その他の情報

この内、(1)項の会社情報には、日本で製造した製品を輸出する場合は、SDSの日本の作成者の情報を記載する必要があります。
(3)項について、混合物の成分の含有率の表記については、±5%で表示することができます。ただし5%未満の場合は、その閾値以上(例えば、発がん性の物質であれば0.1%以上等)として表記できます。

3.その他

ベル、SDSはハングルで作成することが必要です。ただし、雇用労働部告示では、試験・研究用のものについては、外国語で作成されたものは、ハングルに翻訳しなくてもよいことが許されています。
 分類基準は、パープルブックの第4版が採用されています。有害化学物質に指定されている物質の分類・表示のリストが、「化学物質の分類及び表示に関する規定」の別表4に公開されています。化学物質管理法では、これらの物質の分類・表示を使用することが求められていますが、このデータと異なる分類・表示を使用する場合は、その証拠となるデータを所有していることが必要です。
 記載内容の不備やラベル・SDSを提供しない場合等の法令違反は、罰金や過怠料の支払いが必要です。

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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