ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

Q
2017年1月27日更新
Q.492 EUの殺生物性製品規則において、殺菌作用のある物質を殺菌目的とは別の目的で使用した場合でも、「処理された成形品」に該当するのでしょうか? また同規則の罰則についても教えてください。

EUの殺生物性製品規則とは、欧州議会・理事会規則 528/20121)で、人の健康と環境の保護のために、殺生物性の活性物質、殺生物性製品の上市や殺生物性製品で処理された成形品(treated articles)等に関して規定しています。

殺生物性製品(Biocidal Product)とは、活性物質(Active Substance)と呼ばれる化学物質や微生物の働きにより、害虫や細菌など害を及ぼす生物から人や動物、材料、成形品を保護するために使われる製品です。

「処理された成形品(treated articles)」とは、殺生物性製品規則の第3条(1)で「1つ以上の殺生物性製品で処理されているもしくは意図的に一体化されているあらゆる物質、混合物または成形品である。」と定義されています。

「処理された成形品」であるかの判断の仕方に関しては、EU委員会から発行されたガイダンス(NOTE FOR GUIDANCE2))の中でフローチャートを用いて説明されています。
 フローチャートでは、殺生物性製品で処理されていない、または意図的に組み込まれていない場合には、処理された成形品でない、としています。殺生物性がある加硫剤、熱安定剤や触媒などが、殺生物性を目的としないで組み込まれている場合には「処理された成形品」にはなりません。
 一方、「処理された成形品」として3つの例が示されています。1つ目は、1つ以上の殺生物性製品で処理されているか、または意図的に組み込まれている缶内防腐剤を含む混合物(塗料等)、処理粘土などです。2つ目は処理または組み込みが成形品に殺生物性機能を与えているが、殺生物性製品でない成型品、例えば抗菌処理をしたプラスチック容器などです。3つ目は処理または組み込みが成形品に殺生物性機能を与えていない殺生物性製品で処理された成形品、例えば殺生物性製品で処理された木材で製作された家具などです。

次に、殺生物性製品規則の罰則に関してですが、殺生物性製品規則の第87条でEU加盟国の各国の法律の下で権利侵害に適用可能な罰則を定め必要なすべての措置を取る、としており、国ごとに罰則の内容は異なっています。該当する国での罰則について確認いただく必要があります。

殺生物性製品規則に関しては、専用のWEBサイト3)4)が用意されています。
これらのWEBサイトも参照いただくことで承認や認可などの情報を知ることができます。

1)http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:02012R0528-20140425&from=EN
2)http://chemicalwatch.com/downloads/CA-Dec12-Doc.5.1.pdf
3)https://echa.europa.eu/regulations/biocidal-products-regulation
4)http://ec.europa.eu/health/biocides/policy/

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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