EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
結論としては、成形品である包装・梱包資材の中に1つでも認可対象候補物質リスト収載物質(CL物質)が0.1wt%を超過する成形品がある場合、CL物質に関する情報伝達義務が発生します。
REACH規則では製品を包装・梱包する資材についても成形品の定義に合致する資材は成形品とみなされます。そのため、包装・梱包材であっても包装・梱包材全体ではなく、個々の成形品単位でCL物質が0.1wt%を超過しているか判断することになります。
また、包装紙の表面をラミネート材で覆うような複数の材質から構成される包装紙など、複数の成形品が組み合わさった包装・梱包材(複合成形品)の場合、2015年9月の欧州司法裁判所の先決裁定(Court of Justice of the European Union PRESS RELEASE No.100/15)の解釈を適用します。CL物質の含有率0.1%を算出する際に用いる分母は、従来は複合成形品単位でしたが、この先決裁定によって複合成形品を構成する1つ1つの成形品単位へと解釈が変わりました。この解釈を受けて、ECHAは成形品ガイダンスを暫定更新(第3版)1)するとともに、全面更新(第4版)案2)も検討しています。
成形品である包装・梱包資材の中に1つでもCL物質 0.1wt%を超過する成形品があれば、情報伝達義務が発生します。なお、情報伝達義務については、以下の通りです。
REACH規則の罰則については、第126条「不遵守に対する罰則」で規定されており、罰則は各国の国内法で定めることとなっています。例えば、「加盟国におけるREACH規則の侵害に適用される罰則に関する報告書」3)によると、REACH規則の侵害に対し、オーストリアでは明確な罰金の金額や刑法などの規定はなく、フランスでは最高2年間の懲役や75,000Eurの罰金が定められています。このように、罰則の厳しさのレベルは国によって差がありますが、調和させるための調整も行われています。
罰則規定の執行措置も同様に各国で進めることとされています。なお、罰則の対象は、REACH規則の義務を有するEU域内の製造者、輸入者や唯一の代理人等の、自然人か法人です。また、法人の場合、違反となる行為の意思決定を行った責任者も罰則の対象があります。
1)https://echa.europa.eu/documents/10162/13632/articles_en.pdf
2)https://echa.europa.eu/documents/10162/13643/peg_sia_guidance_en.pdf/fe8f10c8-bbdf-430c-af7d-315d2f7be7ac
3)http://ec.europa.eu/environment/chemicals/reach/pdf/report_reach_penalties.pdf