EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
有害性などのリスクを評価・検討し対象となる化学物質が順次追加されていくREACH規制は、変化し続けていく法規制と言えます。すなわちその変化への対応(=法規制への対応)のために、追加されていく化学物質の当社製品との関係・安全取扱情報などをその都度調査し明らかにしていくことが必要となります。
追加収載されたSVHC(Candidate List of substances of very high concern for Authorisation)が貴社製品に全く関係なく、其の製造環境にも変化がないということですと、貴社製品を取り巻く状況は何ら変化をしていないということになりますので、それ以上の調査確認は必要ないといえます。ECHAの資料に掲載されるSVHCの主な用途が、川上企業が扱っている従来製品群とはまったく関係がないと判断できる場合などが該当し、その判断を確実に行うためにもサプライチェーン内で確実な情報共有を行うことが重要となります。
しかし、サプライチェーンのグローバル化、製品ライフサイクルの短期化、多品種小ロット化などを要因として、それらの情報共有は物理的・費用的に困難であるため、情報共有システムの標準化の検討が進められてきました。現在、主な情報共有システムとしてJAMP MSDSplus(化学品)/AIS(成形品)、chemSHERPA-CI(化学品)/AI(成形品)などがあります。いずれも管理対象物質リストは最新版ダウンロードすることで最新の情報に自動的に更新されますので、REACH規制での新たな化学物質の追加にも対応することが可能です。
特にchemSHERPAは現在の各種製品含有化学物質規制への対応が可能であるとともに「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)」2020年目標の達成にも貢献し、業種・製品分野を限定することなく国際標準を目指しえるものとして経済産業省が開発しました。同システムは平成28年4月よりアーティクルマネジメント推進協議会(JAMP)が運営組織となり、平成30年3月末までの2年間を移行期間として利用・普及が進められています。
REACH規制33条では、製品供給先の製造者に必要な情報を伝達する義務があることを定めています。SVHCの用途情報などを参照しつつ、これらのシステムを活用した効率的かつ確実な情報共有が必要であると考えます。