ここが知りたいREACH規則

ここが知りたいREACH規則

EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介

Q
2017年9月15日更新
Q.509 台湾「新化学物質及び既有化学物質資料登録弁法」の規定について、製造者が第一段階登録をすでに行っている物質に関して、当該製品が一旦輸出され、輸出後に台湾に逆輸入される場合で、2016年4月1日から起算して輸入量が100kgを超えた物質については、輸入者が製造者とは別に第一段階登録を行う必要があるのでしょうか?

ご質問の化学物質は、製造者が第一段階登録を既に行っていますので、2016年3月31日以前に第一段階の登録が行われていることになり、その物質が輸出され、2016年4月1日以降に台湾に再輸入されても、台湾の輸入者は改めて第一段階登録をする必要はないと考えます。

その根拠は以下の通りです。
 台湾の「新化学物質及び既有化学物質資料登録弁法」では、登録免除される物質として、第4条で次の項目が列挙されています。

  • (1)天然物
  • (2)試験運転目的の機械及び装置に伴う化学物質
  • (3)反応容器あるいは製造プロセス中の化学反応による分離できない中間体
  • (4)国防目的の化学物質
  • (5)税関の管理下にある化学物質
  • (6)廃棄物
  • (7)商業的に利用されない不純物
  • (8)混合物 ただし、混合物中の個々の化学成分は免除対象にならない
  • (9)成型品
  • (10)2%ルールが適用される、既存化学物質インベントリー収載のポリマー
  • (11)その他、中央主管当局が指定する物質

REACH規則では登録物質を再輸入する場合は登録を免除され条項がありますが、上記のとおりこの項目がありません。これに替わって、「新化学物質及び既有化学物質資料登録弁法」では、第3章18条で、既有化学物質の第一段階登録の規定条項に続いて、「既有化学物質の販売のための製造、輸入または移転を行う者は、承認された第一段階の登録証あるいは登録を特定するのに十分な資料を提示する必要がある。」と記されています。
 したがって、第一段階登録証をすでに取得している既有化学物質に関しては、その後に台湾から輸出された同一の既有化学物質を再輸入する者は、第一段階の登録証そのものか登録証のコピー等の登録してあることを証明する資料などを提示することで第一段階登録の代わりとすることができると考えることが出来ます。

なお、第一段階登録された物質から、今後その危険有害性、製造量等から標準登録をしなければならない物質が指定されることになっています。

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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