EUの化学物質関連規則を統合するREACH規則について紹介
ご質問の営業秘密を守る方法については、欧州CLP規則第24条「代替化学名の使用に関する申請」に以下のような規定があります。
第24条第1項 混合物中の物質の製造者、輸入者または川下使用者は、欧州化学物質庁(以降「ECHA」と略称)に対し、その混合物中の物質に対する代替化学名の使用を申請することができる。 代替化学名は、(1)重要な機能性化学物質群を特定する名称による方式、または(2)代替呼称による方式の何れかにの方式により申請が可能である。 後者は対象物質が附属書1の第1部(Part1)に定められた基準に適合するとともに、対象物質の化学的特定名をラベル表示または安全性データシートで開示することにより申請者の事業の機密性(特に申請者の知的所有権)が危険にさらされることを申請者が立証できる場合に申請することができる。
この規定により製造者、輸入者または川下の使用者は、営業秘密を守る目的でECHAに対して代替化学名を使用する申請が可能です。 上記についてはECHAのHPのQ&Aが参考になります1)。
ビジネスの機密性が危険にさらされる場合には、混合物中の物質名を代替化学名とする申請が可能です。 この場合、CLP規則第24条の下で附属書Iの1.4.1項に定められた以下の3つの基準のすべてを満たす物質であることが必要です。
代替名使用の申請には手数料が必要です。 手数料についてはECHAに支払う手数料について記載した規則(EC)No 440/20102)に手数料の水準や支払い規則が示されています。 CLP規則第24条(1)に従う混合物の手数料としては、最大5個の混合物中の物質に対する標準的な手数料は4000ユーロとされています。 また、追加の手数料は、混合物10個毎に500ユーロです。 尚、中小企業などには減額措置があります。
具体的な手続きは、「代替化学名の使用要求」機能を使用してREACH-ITのIUCLID6の書類を提出することとされています(図-1参照)。
図-1 REACH-ITによるIUCLID6の提出手続き
2) http://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=CELEX%3A32010R0440