電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2007.05.11
中国版RoHSは、EU RoHS指令と似ている部分もありますが、対象製品や除外の考え方など異なっている部分が多く、中国当局も中国版RoHSと言われたくないとコメントしています。中国版RoHSの正式名称は「子信息
品
染控制管理
法」ですが、日本語訳は「電子情報製品汚染抑制管理規則」あるいは「電子情報製品汚染抑制管理弁法」、略称は「管理規則」、「管理方法」などさまざまな表現がされています。これまでRoHS弁法と呼称されていましたが、最近は「管理規則」が多く使われるようです。
「法」は「弁法」と日本語で表記されますが、意味合いは日本の政令や省令です。「管理規則」は情報産業部が主管となって7つの省庁で制定された「省令」ですから、日本流の「規則」と使われるようになったものと思います。
「管理規則」は省令で、第1条で「清潔生産促進法、固形廃棄物環境汚染防止法などの法律、行政法規に基づき、本規則を制定する。」としています。「管理規則」の条文を解釈するときには、上位の法律を理解しておくことが重要となります。
第9条に設計要求があります。WEEE指令の第4条の要求のように、設計基準が定められているのではなく「責務」「努力規定」になっています。
清潔生産促進法の第20条の設計要求は、「製品およびその包装の設計には、ライフサイクルの観点から人体の健康および環境に影響を及ぼさないことを考慮しなくてはならない。無毒、無公害、分解しやすい、リサイクルしやすい設計を優先的に採用しなければならない。」とあります。「管理規則」の第9条では明確に記述されていませんが、上位法律は「ライフサイクルの観点」で設計要求であり、これは認識しておかなければなりません。
「管理規則」は、廃電子情報製品や中古販売製品には適用されません。しかし、固形廃棄物環境汚染防止法の下位の省令であり、影響があります。
2007年8月に「廃棄家電・電子製品汚染防止技術政策」が発行され、「三化(減量化・資源化・無害化)原則」の推進がされることになりました。「技術政策」の意味は、中国では法律は5年に一度に開催される「全国人民代表大会」でしか制定できないので、その間の行政規則などの制定の方向を示すものです。
「技術政策」には、「環境配慮型設計基準」があり、「有毒・有害物質の使用削減」、「製品の使用寿命の延長」「製品部品の互換性の向上」や「情報開示」が示されています。
「汚染者負担原則」が理念として導入されており、「管理規則」の設計要求にはこれらの要求を満たす必要があります。
第11条で「電子情報製品の生産者または輸入者は生産または輸入する電子 情報製品に環境保護使用期限を記載しなければならない」とされています。環境保護使用期限は用語の定義で「ユーザーが製品を使用しても、電子情報製品に含まれる有毒、有害物質または元素が漏れたり突然変異を起こすことなく、環境に深刻な汚染をせず、ヒトや財産に深刻な損害を与えない期間」とされています。
電子情報製品では馴染めない言葉ですが、食品の賞味期限とすると分かりやすい概念です。製品品質法の第27条で「使用期限のある製品は、目立つ位置に明瞭に製造年月日および安全使用期限または失効期限を明記しなければならない。」とされております。
2007年1月5日付けの「子信息
品
保使用期限通
(草稿) General rule of environment-friendly use period of electronic information products」では、環境保護使用期限の決め方を示しています。
草案ですが、分類注釈に基づいて次のように示されています。
電子通信機器
電子ネットワーク機器 | 50年 |
電話 | 10年 |
FAX | 10年 |
通信誘導車 | 8年 |
携帯電話 | 20年 |
コンピュータ製品
ビデオカメラ | 10年 |
ディスプレイ | 8年 |
デジタルカメラ | 10年 |
プリンター | 15年 |
DVDなど | 10年 |
メモリ | 10年 |
スイッチ電源 | 10年 |
光ディスク | 10年 |
このように、「管理規則」の解釈は、関連する法規制を理解しておくことが重要です。
(松浦 徹也)