電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2008.10.10
欧州委員会は2008年8月1日にELV指令(廃自動車指令)見直しを行い、委員会決定としてまとめ、2008年8月23日にOJ(オフィスジャーナル)で公表しました。
廃自動車指令(Directive 2005/53/EC)では、加盟国が2003年7月1日以降に上市される車輌の材料および構成部品が、付属書IIに記載する事例ならびに定められた条件に適合する場合を除き、鉛、水銀、カドミウム、6価クロムを含有しないことを保証するものとしています(指令2000/53/ECの第4条(2)(a))。
付属書IIは、科学と技術の進歩に適合するよう欧州委員会により定期的な見直しが行われます。除外項目の中には、付属書IIに特定された除外期日が到来している項目がありました。また、除外期限終了前の材料および構成部品が組み込まれて禁止の4重金属を含有している車輌が上市されています。今回は、除外期限を経過した項目を重点にして付属書IIの見直しをなっています。
今回の付属書IIの見直しの内容を以下に紹介します。
材料および構成部品 |
範囲および除外期限の期日 |
備考 |
合金要素としての鉛 |
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2(a) 最大 2wt% の鉛含有アルミ(快削性向上目的) |
2005年7月1日以前に上市された車両用スペアパーツとして |
新規車両には禁止 |
2(b) 最大 1.5wt% の鉛含有アルミ |
2008年7月1日以前に上市された車両用スペアパーツとして |
新規車両には禁止。制限が厳しくなり RoHS と同等 |
4(a) ベアリングシェルおよびブッシュ |
2008年7月1日以前に上市された車両用スペアパーツとして |
新規車両には禁止 |
4(b) エンジン、トランスミッションおよびエアコンのコンプレッサ中のベアリングシェルおよびブッシュ |
2011年7月1日以前に上市される車両のスペアパーツとして 2011年7月1日およびそれ以降の日 |
特定用途について延期 |
構成部品中の鉛および鉛コンパウンド |
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7(a) ブレーキホース、燃料ホース、エア換気用ホース、シャーシ適用品中のエラストマー / 金属部品およびエンジン搭載品の中のエラストマー用の加硫剤および安定剤 |
2005年7月1日以前に上市された車両用スペアパーツとして |
新規車両には禁止 |
7(b) ブレーキホース、燃料ホース、エア換気用ホース、シャーシ適用品中のエラストマー / 金属部品およびエンジン搭載品の中のエラストマー用の加硫剤および安定剤に含まれる最大 0.5wt% の鉛 |
2006年7月1日以前に上市された車両用スペアパーツとして |
新規車両には禁止 |
7 (c) パワートレインに適用するエラストマー用接着剤に含有する最大 0.5wt% の鉛 |
2009年7月1日 |
除外期限を設定 |
8(a) ガラスを除く電子回路基板その他電子応用品に適用するはんだ |
2010年12月31日以前に承認される型の車両と同車両用のスペアパーツ) ( 2009年にレビュー) |
新型車の鉛フリー高温はんだの除外がある。 2009年の見直しに向け、ロビー活動が盛んになっている。 |
8(b) ガラス上の電子適用品中のはんだ |
2010年12月31日以前に承認される型の車両と同車両用のスペアパーツ) ( 2009年にレビュー) |
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9 バルブシーツ |
2003年7月1日開発された型のエンジン用スペアパーツとして |
新規車両には禁止 |
11 パイロテクニックインヒビター
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2006年7月1日以前に認定された型の車両および同車両用スペアパーツとして |
新規車両には禁止 |
6価クロム |
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12(a) 防食用コーティング |
2007年7月1日以前に上市された車両用スペアパーツとして |
新規車両には禁止 |
12(b) シャーシ適用品のホルトナット組み立てに関連する防食用コーティング |
2008年7月1日以前に上市された車両用スペアパーツとして |
新規車両には禁止 |
水銀 |
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14(a) ヘッドライトに適用のディスチャージランプ |
2012年7月1日以前に承認される型の車両と同車両用スペアパーツとして |
新型車およびスペアパーツに適用 |
14(b) パネルディスプレイ装置に使用される蛍光管
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2012年7月1日以前に承認される型の車両と同車両用スペアパーツとして |
新型車およびスペアパーツに適用 |
カドミウム |
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15 電機自動車用バッテリー |
2008年12月31日以前に上市された車両のスペアパーツとして 2008年12月31日およびそれ以降 |
新規車両には禁止 |
(瀧山 森雄)