電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2009.04.10
2009年1月14日にSVHCの候補物質(Candidate List)の15物質から7物質が認可対象推薦物質として発表されました。7物質とその典型的な用途は次になります。
2008年12月3日にRoHS指令の改正案を出され、注目を集めたのが評価物質として特定された4物質(HBCDD、DEHP、BBP、DBP)で、4物質共に認可対象推薦物質に入っています。
傾向として、樹脂の可塑剤としての用途が多く対象となっています。ことにDEHPが制限されると塩ビが使えなくなるとして、塩ビの用途は幅が広く、戸惑いも広がっています。
塩ビにDEHPを添加することで柔軟になるので、建材などの硬質PVCは数%ですが、用途により50%程度まで混入することもあります。
樹脂の可塑剤、ことに塩ビが注目されようになったのは、2000年7月26日のGREEN PAPER Environmental issues of PVC(注1)の影響が大きいと思います。グリーンペーパーの中では、「塩ビから可塑剤類が浸出する可能性は高い」「塩ビ焼却による有害廃棄物は環境汚染の恐れが強い」分析しています。REACH規則の認可物質やRoHS指令での認可対象推薦物質指定などの背景理由も同様です。
塩ビの焼却上の問題と、有害成分として特定された可塑剤の除去が課題ですから、塩ビが全廃になるとは思えませんが、用途制限は厳しくなると思われます。このグリーンペーパーの発行頃から、消費者活動団体などが、塩ビ玩具の規制を強く働きかけをしています。EUは理念を明確にして、徐々に手順を具体化していきます。昔から塩ビと塩ビ可塑剤には厳しい要求があり、EU域内企業は徐々に対応をしてきています。
塩ビや可塑剤規制はREACH規則やRoHS指令の共通の考え方です。その基本理念がこのグリーンペーパーに示されており、塩ビの今後の規制もまた、その方向性が見えてくると思います。このグリーンペーパーは古い資料に属しますが、再確認しておく価値がありそうです。
注1:http://ec.europa.eu/environment/waste/pvc/en.pdf
(松浦 徹也)