電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2009.10.23
中国版RoHS法といわれる「電子情報製品汚染抑制管理規則」は、第1ステップとして特定有毒有害化学物質の含有表示義務が2007年3月1日から施行されています。第2ステップはEU RoHS指令と同じ特定化学物質の電子情報製品への含有制限の義務で、対象製品が「重点管理目録」に示されることになっています。
09年9月29日に第1バッチ(第一批)の目録案が公示され、11月9日を締切りとするインターネットコンサルテーションが開始されました注1)。
目録の構成は第18条で「重点管理目録は、電子情報製品類型目次と、使用の制限された有毒又は有害な物質或いは元素の種類とその制限された使用期限からなる。実際的な状況及び科学技術の発展水準により、毎年調整する。」(2006年2月28日 ジェトロ 上海センター)とされています。
第1バッチの目録案では「移動用端末」「電話機」「コンピュータ用プリンター」の3品目群が対象となっています。また、3品目群共通の規制事項は以下のようです。
鉛・水銀・カドミウム・六価クロム・PBB・PBDE
最大許容濃度はSJ/T11363-2006(カドミウム0.01wt%、その他0.1wt%)による。
目録正式公示後10カ月
3品目群の対象品目と除外は以下のようです。
(1)税関HSコード注2)
(2)暫定使用制限の除外
(1)税関HSコード
85171100・85171800
固定電話およびコードレスホン
(2)暫定使用制限の除外
移動用端末と同じ
(1)税関HSコード
84433211・84433212・84433213・84433214・84433219
コンピュータとの通信のインターフェイスを持ち、単独あるいはIT機器と接続することにより、ファイル、領収書あるいは写真などを印刷する機器
(2)暫定使用制限の除外
移動用端末の10項目に次の2項目の追加
第2ステップに入るとCCC制度が適用され、含有濃度規制になります。含有濃度はSJ/T 11363-2006(最大許容濃度)にすると目録案に記載されています。SJ/T 11363-2006は、測定方法としてSJ/T 11365-2006(測定方法)を指定しています。SJ/T 11365-2006はIEC62321をベースとしていますが、08年12月に国際標準とはなっていません。IEC62321の国際標準化によって、SJ/T 11365-2006はSJ(電気電子業標準)からGB(国家標準)になるといわれています。改定情報は入手していませんが、動向に注意する必要があります。
用途の除外内容はEU RoHS指令と同じですが、除外が限定されており、厳しいともいえます。例えば、コンピュータ用プリンターの用途の除外で「LCDのバックライトのガラスへの鉛」が認められていますが、携帯電話では認められていません。
インターネットコンサルテーションの結果が注目されます。
*本コラムの内容は筆者の知見、認識による意訳に基づいたものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制の解釈等は必ず原文をご参照ください。
注1)
http://www.miit.gov.cn/n11293472/n11293832/n11293952/n12712671.files/n12712351.pdf
注2)HSコード
HSコードは10桁で次の2部構成になっています。
AA(部・類) BB(項) CC(号):世界統一
DDD E :国別定義
今回の目録で特定された品目で、中国定義の下4桁が従来の公表リストで確認できなく、上の6桁のコードを示します。
8517:電話機(携帯回線網用その他の無線回線網用の電話を含む)およびその他の機器〔音声、画像、その他のデータを送受信するものに限るとし、有線または無線回線網(例えば、ローカルエリアネットワーク=LANまたはワイドエリアネットワーク=WAN)用の通信機器を含む〕
851711:コードレス送受話器付きの有線電話機
851712:携帯回線網用、その他の無線回線網用の電話
851718:その他の機器〔音声、画像その他のデータを送受信するものに限るものとし、有線又は無線回線網(例えば、ローカルエリアネットワーク=LANまたはワイドエリアネットワーク=WAN)用の通信機器を含む〕
8443:印刷機、その他のプリンター、複写機およびファクシミリ(結合してあるかないかを問わない)並びに部分品、附属品
844332:その他のもの(自動データ処理機械またはネットワークに接続できるものに限る)
(松浦 徹也)