電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2010.12.24
インドはBRICsの中でも人口が11億8,000万人であり、冷蔵庫や洗濯機の普及率が2008年調査で20%以下(日本は99%)ですので、電気電子業界が魅力的市場としています。このような背景があってと思いますが、インドの規制に関する関心が高まっています。
2010年5月にインドRoHS規則の草案が示され、パブコメを求めました。このパブコメを反映して9月に改正草案が公開されました。
9月草案を中心に状況をまとめてみます。
インドRoHS規則の正式名称は"the e-waste (Management and Handling) Rules, 2010"です。RoHS法と記載しましたが、規制内容は"e-waste"で、特定有害物質規制条項(RoHS指令)もありますが、"crossed-out wheeled bin"マークの貼付などの廃電気電子機器の義務(WEEE指令)が主要となっています。理念を拡大生産者責任としていますのでEUの規制に類似しています。
施行日は2012年1月1日になっています。
構成は6章22条で、3明細書(附属書)および7様式で、比較的少ない要求内容です。
第1章 一般
第2章 責任(生産者・配送業者(distributers)・改装業者(refurbisher)・回収業者・大口利用者・解体業者・リサイクル業者)
第3章 認可手順及び廃電気電子機器事業登録
第4章 廃電気電子機器の保管手順
第5章 電気電子機器の製造における有害物質の使用削減(RoHS)
第6章 その他
明細書(SCHEDULE)I 廃電気電子機器の範囲
明細書II 用途の除外
明細書III 当局の義務
様式I~VII
RoHSの義務は第5章規則15に4項目示されています。
(1)新規に製造する電気電子機器には鉛・水銀・6価クロム・PBB・PBDEを含有させてはなりません。
対象となる電気電子機器は、用語の定義の規則3(k)では、「機能を発揮するために電流または電磁場に依存する機器、電流および電磁場の発生、転送及び測定の機器で明細書Iに属するもの」となっています。
明細書Iでは、2つのカテゴリーになっています。
なお、EU RoHS指令の交流1,000ボルト、直流1,500ボルト以下の条件はありません。
また、EU RoHS指令と同じ有害物質が特定されていますが、最大許容濃度は示されていません。
これらは、規則17により明細書IIIに定められたDelhiの中央汚染管理局(Central Pollution Control Board:CPCB)が対応します。
(2)明細書IIの用途の除外が適用されます。明細書IIには23項目が示されており、EU RoHS指令の用途の除外に類似した内容になっていますが、EU RoHS指令にある照明機器の水銀の除外などがありません。
5月版の草案では、廃電気電子機器のスコープはEU WEEE指令のカテゴリーから照明機器を除いた9カテゴリーになっていました。照明機器はインドでは他の規制があるように思えます。
適用範囲のテレビは液晶およびLED形式が含まれるとされています。液晶の場合のバックライトに水銀管が使えないことになります。
特定有害物質の削減義務は、施行後3年以内とされています。施行は2012年1月1日ですから、2015年1月1日に発効です。
(3)電気電子機器の特定有害物質の削減は、製品の取扱説明書で製品の構成要素の詳細な情報を提供する必要があります。
グリーン設計/製品の証明などは明細書IIIによりCPCBが定めることになっています。
中国RoHS規則の例もありますので、JIS C 0950(J-Moss)の表示と推察しています。
(4)電気電子機器を輸入または上市は、RoHS適合品でなくてはなりません。
改正草案によるパブコメを30日間受け付けました。受け付けた意見を60日以内に処理するとしていますので、12月中には新規則案が固まると思われます。
EU RoHS指令対応ができていればインドRoHS規制への対応ができると思われます。
(松浦 徹也)