電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2012.03.23
RoHS(II)でCEマーキングが新たに義務化されました。CEマーキングに関する質問が増えてきていますので、改めてCEマーキングに関する情報を整理したいと思います。
RoHS(II)の目的は第4条1項の「加盟国は上市される電気電子機器にAnnex IIに記載された物質を含まないのを確実にするものとする」(Member States shall ensure that EEE placed on the market ・・・・・ does not contain the substances listed in Annex II.)です。
この附属書IIで特定された物質の非含有義務を受けて、第7条で製造者の次の義務を課しています。
製造事業者は特定物質の非含有を設計段階、製造段階で確認し、技術文書を作成し、Decision No 768/2008/ECのモジュールAで管理された状態にする義務があります。
Decision No 768/2008/ECはNew Legislative Framework(NLF)の構成する規定で、従来のニューアプローチ指令を強化し、製品の市場流通のための「法律的枠組み」を構築するもので、2010年1月1日に施行されました。
NLFは既存の指令が改定されるときに盛り込まれる運用がされ、現状では玩具指令に続いてRoHS(II)が2番目の適用指令となります。
NLFはCEマーキングの信頼、権威を高めることを目的としています。このための取組みが次項です。
(1)適合性評価の強化した適合性評価機関の認定(Accreditation)
(2)健康と環境重視した市場監視(Market surveillance)を強化し、違反製品の市場排除
指令ごとに微妙に異なる適合宣言書や技術文書の項目の統一や制度全体の簡素化による中小企業にも有益な枠組みになっていますが、違反に対して厳しい運用となります。
Decision No 768/2008/ECの附属書I・R7条では、製品を誰から購入し誰に販売したかの記録を残す義務が要求されており、トレサビリティが強化されています。
NLFのトレサビリティ要求に合わせてRoHS(II)では、製造事業者の義務として第7条に次を要求しています。
CEマークの寸法は、765/2008/ECの附属書IIで適用法に定めない限り5mm以上としています。これを受けて、RoHS(II)第15条(CEマーキングの貼付に関するルールおよび条件)で次に条件を示しています。
「CEマーキングは、可視的、明瞭、かつ消えないように電気電子機器の完成品、もしくはその銘版に貼付することとする。それがかなわない場合、もしくは電気電子機器の品質保証ができなくなくなる場合には、包装、および電気電子機器に同梱される文書に貼付することとする」
NLFにより、CEマーキング違反処置は厳しく当局が摘発することになります。RoHS(II)第13条(EU適合宣言書)の第3項で「EU適合宣言書の作成することにより、製造事業者は本指令の電気電子機器に関する規定の順守に対して責任を負うこととする」とし、第7条(製造事業者の義務)で次を要求しています。
違反を確認した当局は、EUの緊急警報システムRAPEXで1つの国で摘発された事項がEU全体に通報する仕組みを使うと思います。
NLFにより、従来に増した厳しい措置が行われるようになります。次回は技術文書および整合規格などについて解説します。
(松浦 徹也)