電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2014.02.07
改正RoHS指令〔Directive 2011/65/EU、以下、RoHS(II)〕は2011年7月21日に発効し、2013年1月2日までに加盟各国において、国内法化が義務付けられていました。旧RoHS指令(2002/95/EC)はその時点で廃止され今日に至っています。
RoHS(II)指令は、旧指令の適用範囲の見直し(オープンスコープ化)、電気電子機器(以下、EEE)の定義の見直しおよび完成EEEに対する上市前の適合性評価、CEマーキング貼付義務等の新しい規定が定められています。それらの新しい規定も含め、RoHS(II)の執行について、発効から3年経過後の2014年7月22日を目標あるいは起点とした規定がいくつかあります。以下にそれらの規定について紹介します。
1.医療装置と監視および制御装置に対するRoHS(II)の適用(第4条3項)
新しく適用範囲となったカテゴリー(8)の医療装置とカテゴリー(9)の監視・制御装置が2014年7月22日以降に上市される分から適用対象となります。
ただし、対外診断医療装置は2016年7月22日以降上市分から、産業用監視および制御装置は2017年7月22日以降上市分からとなっています。
第3条(定義)において、以下に定義がなされています。
2.第4条(1)含有制限物質の非含有規制
第4条(1)の含有制限物質の非含有規制は、2014年7月22日以前に上市されていた医療装置および体外診断装置用医療装置の修理、再使用、機能向上または能力更新のためのケーブル、予備部品に対しては適用されません〔第4条(4)〕。
3.附属書IIの見直しと修正(第6条)
「人の健康と環境保護に資する観点から廃電気電子機器(WEEE)の環境的にやさしいリカバリーと処分を含むEEEに有害物質の使用を制限する」という第1条の目的を達成し、予防原則を考慮する目的のために附属書IIの制限物質の見直しと修正が2014年7月22日までの実施を目指し、欧州委員会で検討が進められています。
これにつきましては、2013年11月22日付けコラムでも取り上げています。ヘキサプロモシクロドデカン(HBCDD)、フタル酸ビス(DEHP)、フタル酸ジブチル(DBP)およびフタル酸ジブチルベンジル(BBP)の4物質が新たな追加候補物質となっています。
4.適用範囲の見直し(第24条)
欧州委員会は、2014年7月22日までに第2条(適用範囲)の修正に必要性を調査し適切であれば追加的な除外について法令案を伴った報告書を議会と理事会に提出することが規定されています。
これに関して欧州委員会からの委託に基づいて、Oeko-InstitutによりRoHS(II)の適用範囲の見直しに関する情報提供を求める意見募集(ステークホルダーコンサルテーション)が行われています。意見募集期間は2014年1月31日-2014年3月10日までの8週間となっており、以下の2つの領域についての意見募集となっています。
5.カテゴリー(8)およびカテゴリー(9)に対する含有制限物質除外アプリケーション
1項に記載したカテゴリー製品に含有制限物質の非含有が適用されることに伴い、附属書IIIと附属書IVの含有制限物質の除外アプリケーションの中、カテゴリー(8)〔体外診断用を除く〕およびカテゴリー(9)〔産業用を除く〕に対し、2014年7月22日から適用が開始されます(下表参照)。
RoHS(II)適用免除 - 最大有効期間 | ||||
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![]() |
附属書IIIに記される適用免除 2011年7月21日現在 |
附属書IVに記される適用免除 2011年7月21日現在 |
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有効期限の指定がある場合 | 有効期限の指定がない場合 | 有効期限の指定がある場合 | 有効期限の指定がない場合 | |
カテゴリー(8)およびカテゴリー(9)一般 | 2014年7月22日 ~ 指定日 |
2011年7月22日 ~ 2021年7月21日 |
2014年7月22日 ~ 指定日 |
2011年7月22日 ~ 2021年7月21日 |
(瀧山 森雄)