電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2014.11.28
欧州委員会は以下の2つのRoHS除外要求のコンサルテーションを開始しました。
上記2つの適用除外用途について欧州委員会からの委託1)を受け、Oeko-institutおよびFraunhofer IMZが2014年10月31日から2015年1月9日の期間で意見募集を開始しており、利害関係者はコメントを遅くとも2015年1月9日までにe-mailまたは郵送でOeko-institutに送付することとなっています。
発表されているコンサルテーションのタイトル、目的等は以下となっています。
除外要求2014-1「高感度酸素センサー用のHersch Cell中のカドミウムアノード」、除外要求2014-2「-150℃以下で定期的に使用されるように設計された温度測定センサーに電気的接続を行うために使用されるはんだ中の鉛」
RoHS指令(2002/95/EC)は見直され、指令2011/65/EUが2011年7月21日に施行され、2013年1月3日に指令2002/95/ECは廃止されている。
指令2011/65/EU(RoHS2)の物質制限からの除外のために提出されている2つの要求は、RoHS2の第5条(1)(a)の除外のための基準に基づいて評価される。
提出されている2つの除外要求を評価する基準となるRoHS2の第5条(1)(a)の規定は以下です。
【RoHS指令第5条(附属書への科学と技術の進歩)】
1.附属書ⅢおよびⅣに科学と技術の進歩を適用し第1条に規定されている目的を達成するために第20条に従った専門委員会により第21条、第22条に規定されている条件に従い以下の措置を採用しなければならない。
申請者の除外申請ドキュメント2)、3)に記載されている除外申請理由等は以下のとおりです。
【除外要求2014-1】
100ppm以下の酸素濃度の計測が可能な高感度酸素センサー用にHersch cell中のカドミウムについて附属書Ⅳの適用除外を要求。
第5条1(a)に関連してこの除外要求理由は以下となっています。
一方、鉛はカドミウムより毒性が少ないものの、鉛のアノードは特定の産業により要求される感度レベル(10-100ppt)や安定性を提供することはできない。それゆえに鉛が適用できない感度範囲のために設計されている装置にカドミウムが要求されている。
高感度酸素計測を要求している産業中以下の産業は、もしその技術が利用不可能である場合、人の健康もしくは環境のリスクとなる事例を以下に提供している。
この除外要求を拒絶された場合の環境的な便益は、毎年のEUの廃棄物の流れから少なくとも0.52kgのカドミウムが削減されると見込まれる軽微なものである。
代替物質は存在し、酸素センサーに使用されている。しかし、ppt(parts per trillion)のオーダーが要求される安定的な感度の特定された応用のために利用できる代替品はない。
使用される酸素センサーの基本タイプはHersch Cellである。
【除外要求2014-2】
-150℃以下の温度で定期的に使用されるように設計されている温度計測センサーを電気的に接続するため使用されるはんだ中の鉛。
この要求は、低温度で周期的に使用されるように設計されている精密なセンサーを電気的に接続するためのはんだ中の鉛の使用除外を要求している。
調査結果では、低温センサーを電気的に接続するために適合する利用可能な代替材料または設計は存在しない。
低温センサーは、研究開発やOEM装置用途の広範囲で多様な応用がなされている。サテライトやハッブル宇宙望遠鏡のように多くの用途はRoHSの適用範囲外である。
利用できる有用な学術調査は限られているが、このことは非常に低い温度で使用される場合に鉛フリーはんだの信頼性が劣ることを示している。
1)
http://rohs.exemptions.oeko.info/index.php?id=214
http://rohs.exemptions.oeko.info/index.php?id=217
2)
http://rohs.exemptions.oeko.info/fileadmin/user_upload/RoHS_Pack_6/2014-1/Mocon-Exemption_Request_Public.pdf
http://rohs.exemptions.oeko.info/fileadmin/user_upload/RoHS_Pack_6/
2014-1/RoHS_Question_Response.pdf
3)
http://rohs.exemptions.oeko.info/fileadmin/user_upload/RoHS_Pack_6/2014-2/
Lake_Shore_Submission.pdf
http://rohs.exemptions.oeko.info/fileadmin/user_upload/RoHS_Pack_6/2014-2/
20141002_answers_Questionnaire-1_Clarification_Exe-Req-2014-2.pdf
(瀧山 森雄)