ここが知りたいRoHS指令

ここが知りたいRoHS指令

電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介

2017.02.24

欧州委員会提案によるRoHS(II)指令改正案

Directive 2011/65/EUの改正提案

循環社会形成に貢献することを目的に欧州委員会からRoHS(II)指令の改正提案1)が提出されています。
 提案されています指令2011/65/EU改正案の概要について以下に紹介します。

前文

(1)指令2011/65/EUの第24条(1)は、欧州委員会に対し適切であるなら包含しているEEEの適用範囲について追加の法的要求を提出することを要求している。
(2)修理、予備部品の置換え、リファービッシュメントおよび再使用を含み、電気電子機器(EEE)の第二次市場運営(Secondary market operations)は共同体の循環社会の増強のために促進さるべきである。環境的に適切なリカバリーや電気電子機器の廃棄を通じて高レベルな人の健康と環境の確実な保護がなされるべきである。市場関係者に対する法的に不必要な負荷は避けられるべきである。
指令2011/65/EUは、指令2002/95/ECの適用範囲外であったが、指令2011/65/EUに適合していないEEEに対して2019年7月22日までの上市を認めている。しかし、2019年7月22日以降の非適合EEEの最初の上市および第二次市場運営は禁止されている。そのような第二次市場運営の禁止は、製品に関する法令の近似に対する共同体の措置は潜在的な一般原則に一致していないため、取り除かるべきである。
((3)削除)
(4)オルガンのパイプには特定なタイプの鉛合金が使われている。これまで、代替材料は見出されていない。大抵のパイプオルガンは長期にわたり、同様場所で使用されておりターンオーバー割合(turn over rate)は無視できる。鉛の含有は、鉛の代替に関連する利益を無視できるのでパイプオルガンは指令2011/65/EUの適用範囲から除外されるべきである。
(5)指令2011/65/EUは専ら職業用に使用される動力源を搭載している非道路用移動装置は適用除外している。しかし、特定の非道路用移動装置については、動力源(搭載または外部)のみが異なる2つのバージョンが同じ生産ラインで生産されている。当該指令の下ではそれらのバージョンは同様に取り扱われるべきである。それ故、外部動力源により牽引駆動される非道路用移動機器も指令2011/65/ECから除外されるべきである。
((6)削除)
(7)除外の見直しの申請が提出された場合、特定の事情が異なる期限を正当化しない場合は既存の除外期限の6カ月以前に欧州委員会は決定することを要求されている。新規の除外に対する申請の決定については委員会に対して期限は設けられていない。
欧州委員会からの欧州議会および欧州理事会に対する指令2011/65/EUに従い委員会が授与された委任法を採用するための権限の行使に関する報告書によれば、見直しに対する申請の評価のために必要とされる幾つかの強制的なステップのため期限は実行が不可能である。一方、除外見直し要求に期限を設けている既存の手順(procedure)は無意味である。実行不可能性によりビジネスおよび他の利害関係者に対して不確定性が必然的に伴う。市場オペレータが見直し要求に対する決定がなされるまで既存の除外が有効に留まることを信頼できるので事業継続が確実となる。したがい、期限に関する規定は取り除かるべきである。
(8)EEE中に有害物質の使用に関する制限によって人の健康保護および環境に健全なEEEの修復および廃棄に寄与するという本指令の目的は加盟国により十分に達成できていない。というのは加盟国で採用されている法律や行政措置の不均衡が共同体内の貿易や捻じれた競争に対する障壁を創り出し、このような内部市場で直接的インパクトをもたらしている。しかし、共同体は条約の第5条に規定されている補完条項の原則にしたがい措置を採択し問題のスケールや廃棄物のリカバリーおよび廃棄および人の健康保護のような共通の関連エリアに関する他の共同体法令の関連により共同体レベルでよりよく達成できる。本指令は、それらの目的を達成するために必要とすること以上には及ばない。

以下に要求されています改正条文を示します。

第1条
(1)第2条
  • (a)以下の 文節2は削除する。
    「第4条(3)および第4条(4)の規定を侵害することなく、加盟国は指令2002/95/ECの適用範囲外であったが、本指令に従っていないEEEを2019年7月22日までは継続して利用できるよう規定すべきである。」
  • (b)文節4に適用除外機器として以下を追加
      (k)パイプオルガン
(2)第3条の28項は以下で置き換え
  • (28)「専ら職業用途に利用できる非道路の運搬機械」とは、機器内搭載動力源または非牽引駆動により作動中は固定された作業場所で継続し移動または連続、半連続での移動が要求され、職業用途専用の移動機械を意味する。
(3)第4条は以下に修正
  • (a)文節3は以下で置き換え
    3. 文節1は、2014年7月22日以降に上市されている医療装置および監視、制御機器、2016年7月22日以降に上市されている体外診断装置、2017年7月22日以降に上市される産業用監視および制御機器、2019年7月22日以降に上市される指令2002/95/ECの範囲外であった他のすべてのEEEに適用される。
  • (b)文節4に以下の(ea)項が挿入される
    (ea)指令2002/95/ECの範囲外であったEEEで2019年7月22日前に上市される他のすべてのEEE
(4)第5条は以下に修正
  • (a)以下の文節2の第2サブ文節
    2011年7月21日時点で附属書Ⅲに収載されている除外については、最長有効期間が見直され、それより短い期間が特定されていなければ以下のとおりとする。
    ― 附属書Iのカテゴリー1から7および10は2011年7月21日から5年間
    ― 附属書Iのカテゴリー8および9は、第4条(3)に規定の該当日から7年間
    は次のとおりに置換える。
    2011年7月21日に附属書IIIにリストされていた除外に対し、それより短い期間が特定されていなければ最長の除外期間は
      (a)附属書Ⅰのカテゴリー 1 ~7 およびカテゴリー10 : 2011年7月21日から5年
      (b)附属書Ⅰのカテゴリー 8および9 : 第4条(3)に規定されている当該日から7年
      (c)附属書Ⅰのカテゴリー11 : 2019年7月22日から5年
  • (b)第5文節の第2サブ文節の最初の文は削除
第2条、第3条および第4条については省略

(瀧山 森雄)

1)http://ec.europa.eu/environment/waste/rohs_eee/pdf/update_legislation.pdf

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。

情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会

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