電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2017.07.14
2017年3月10日にウクライナRoHS法が技術規則として公布1)されました。公布後6ヶ月で発効となっています。
ウクライナ(首都キエフ)は、東ヨーロッパの国で、東にロシア連邦、西にハンガリーやポーランド、スロバキア、ルーマニア、北にベラルーシ、南に黒海を挟みトルコが位置しています。
人口は45百万人、GDPは1,783億ドル(2013年)です。
ウクライナは、EEU(ベラルーシ、カザフスタン、ロシア、アルメニア、キルギス)に加盟するのではなく、2020年を目標にEU加盟を目指しています。2016年1月からはEU・ウクライナ間でDCFTA(深化した包括的自由貿易協定)も暫定的に適用が開始されています。
このような背景もあり、この技術規則(ウクライナRoHS法)はEU RoHS(II)指令(2011/65/EU)をベースとして制定されています。
条項48、附属書6で、条項の構成はEU RoHS(II)指令に類似しており、附属書6には、EU RoHS(II)指令の条項番号とこの技術規則の条項の関係を対比しています。
(1)目的(第1条)
(2)対象製品(附属書2)
附属書1によるカテゴリに属する11製品が対象です。附属書1の製品カテゴリはEU RoHS(II)指令と同じです。
電気電子機器の定義も交流1,000V、直流1,500V以下で、定格電圧250V以下のケーブルやスペアパーツも入ります。
対象外としてはRoHS(II)指令と同じで、防衛機器、宇宙機器、適用範囲外の機器の一部として特に設計された機器、大型固定工具、大型固定設備などです。
(3)特定有害化学物質(付属書2)
特定有害化学物質はRoHS(II)指令と同じですが、説明の都合で2群に分けます。
A群(EU RoHS指令と同じ)
B群(EU RoHS(II)指令 2015.6.4追加と同じ)
(4)適用時期
発効は公布日の6か月後ですので、2017年9月11日になります。ただ、詳細な適用時期は、附属書1の製品カテゴリと附属書2の特定有害化学物質の組み合わせで決まります。
附属書1 製品カテゴリ |
適用対象外(第5条) | 附属書2(特定有害物質) | |
---|---|---|---|
A群 | B群(第6条) | ||
1~7、10 | 2011.1.1前の上市品 | 2017.9.11 | 2019.7.22以降 玩具は除く |
11 | 2017.9.11 | 2019.7.22以降 | |
8&9 | 2018.1.1前の上市品 | 2018.1.1 | 2019.7.22以降 |
体外診断機器 産業用監視制御機器 |
2018.7.22前の上市品 | 2018.7.22 | 2021.7.22以降 |
ケーブル スペアパーツ |
2011.1.1前の上市品から回収した物を2018.1.1前の電気電子機器に使用する場合(要顧客に通知) | 2017.9.11 | 2018.1.1前に上市されたケーブル、スペアパーツのリサイクルには適用しない |
ケーブル、スペアパーツの製品カテゴリは、EU RoHS(II)指令と同じ、使用製品群に依存すると思われます。
用途の除外は附属書3(すべての製品カテゴリが対象)にEU RoHS(II)指令と同様にあります。第8及び第9製品カテゴリは附属書4も適用されます。
除外項目は、EU RoHS(II)指令と同じで、EU RoHS(II)指令の附属書IIIの延長案のPack9は反映されていません。
EU RoHS(II)指令と同じ項目ですが、施行が2017年9月11日ですので、適用日は少し違っています。
適用除外用途 | 適用除外の期限 | |
---|---|---|
1 | コンパクト型蛍光ランプに含まれる水銀で(1バーナーあたリ)で以下の値を超えない | |
1a | 一般照明用途で30W未満 5mg | 2018.1.1 3.5mg 2018.7.1 2.5mg |
6a | 機械加工用鉄及び亜鉛めっき中の合金成分としての鉛 0.35% | 2018.1.1まで -製品カテゴリ 1~7、10 2021.7.22まで -製品カテゴリ 8-9 2023.7.22まで - 体外診断用医療機器 2024年7月22日まで - 産業用監視制御機器 |
6b | アルミニューム中の合金成分としての鉛 0.4% | 2018.1.1まで -製品カテゴリ 1~7、10 2021.7.22まで -製品カテゴリ 8-9 2023.7.22まで - 体外診断用医療機器 2024年7月22日まで - 産業用監視制御機器 |
6c | 銅合金中の合金成分としての鉛 4% | 2018.1.1まで -製品カテゴリ 1~7、10 2021.7.22まで -製品カテゴリ 8-9 2023.7.22まで - 体外診断用医療機器 2024年7月22日まで - 産業用監視制御機器 |
順法のための要求は、2016年1月13日付け適合性評価手続に基づいて、技術文書を作成し、モジュールにより適合性評価をします。
この技術規則は内部生産管理手順2)が適用されます。EUのニューアプローチのモジュールAと類似した手続きになっています。
なお、技術文書は10年間の保管義務があります。
第13条の「この技術規則の言及適合性評価手続で証明し、それに適用される電気・電子機器の要件の遵守場合、メーカーは、附属書5に従った形で適合宣言を行い、完成した製品の技術基準適合マークを付けます。
適合宣言書は附属書5にあります。
附属書5 適合宣言書 記載項目
ウクライナの法令、規則は公開されています。
法令集
http://zakon3.rada.gov.ua/laws/main/index
規則集
http://www.kmu.gov.ua/control/ru/newsnpd
(松浦 徹也)
1)http://www.kmu.gov.ua/control/uk/cardnpd?docid=249810730
2)http://zakon2.rada.gov.ua/laws/show/95-2016-%D0%BF?test=4/UMfPEGznhhthj.ZiPu7mx7HI4EQs80msh8Ie6