電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
2017.07.21
2017年3月に閣議決定がなされていました1)「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律の一部を改正する法律(法律第五十三号)」が6月7日に官報公示(公布)2)されました。この官報においては、少量多品種の機能性化学物質の拡大や毒性の強い化学物質の出現など、日本の化学産業の変化が背景となって以下の2つの改正内容が取り上げられています。
一つの新規化学物質の製造予定数量及び輸入予定手数量に基づき、環境に影響を及ぼすものとして省令で定める方法により算出される当該新規化学物質の数量を合計した数量が政令で定める数量を超えることとなる場合は、厚生労働大臣、経済産業大臣及び環境大臣は数量上限を超えないように数量調整を行い届出者に通知することとしています。(第三条第二項及び第五条第五項関係)
すなわち、新規化学物質の審査時特例制度である「少量新規制度」および「低生産量新規制度」における製造・輸入数量の全国上限値が従来の新規化学物質に係る各事業者の製造および輸入数量の合計値から、各事業者の製造および輸入数量に用途別の排出係数を乗じた数量の合計値に改正されます。(排出係数の例 芳香剤:1、液晶:0.0012)
今回の「審査特例制度の見直しにより」数量調整がビジネスに与える影響(ビジネス機会の喪失、予見可能性の低下等)が解消され、化学物質メーカーの活性化につながることが期待されています。
施行日は3年を超えない範囲で別途、政令において定められる予定となっています。
以上のように、一般化学物質に分類される化学物質のうち、毒性が強いものとして継続的に摂取される場合には人の健康を著しく損なうおそれがある物質を「特定一般化学物質」、新規化学物質で同様の特性に該当する物質を「特定新規化学物質」に指定し、すでに事業者間で実施されていると想定される譲渡、提供時における情報提供の努力義務などが新たに規定されています。
施行日は、1年を超えない範囲で別途、政令によって定められる予定です。
参考として、現行法令での「低生産量新規」と「少量新規」の特例制度に関する事項を以下に記載します。
現行法令では、年間の製造・輸入予定数量が一定以下の場合、「低生産量新規」又は「少量新規」制度を利用し、事前審査を受けずに製造・輸入することができる特例制度が設けられています。ただし、同一の新規化学物質について、複数の事業者がこれらの制度利用を申し出た場合には、その物質の製造・輸入予定数量の合計が上限を超えないように、国が物質ごとに数量調整を行い、事業者に通知します。(これを「数量の確認」と呼んでいます) 物質ごとの製造・輸入予定数量の上限は、「低生産量新規」の場合、物質ごとに全国で年間10トン、「少量新規」の場合、物質ごとに全国で1トンとなっています。なお、同一物質に対して、「低生産量新規」と「少量新規」それぞれの申し出があった場合には、「低生産量新規」と「少量新規」を合わせて物質ごとに全国で年間10トンとなっています。
「少量新規」の上限値1トン及び「低生産量新規」10トンの根拠について「厚生労働省 医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室」、「経済産業省 製造産業局化学物質管理課化学物質安全室」及び「環境省 総合環境政策局環境保健部企画課化学物質審査室」から以下が示されています。(化学物質審査規制法(化審法)について 平成25年5月16日)
〇「少量新規」の上限値1トンの根拠
〇「低生産量」の上限10トンの根拠
全国の製造・輸入数量(トン) | 不検出 | 検出 | 合計 | 検出割合(%) |
---|---|---|---|---|
1以上~10未満 | 6 | 0 | 6 | 0 |
10以上~50未満 | 18 | 1 | 19 | 5 |
50以上~100未満 | 29 | 5 | 34 | 15 |
100以上~1,000未満 | 81 | 50 | 131 | 38 |
1,000以上~10,000未満 | 48 | 49 | 97 | 51 |
10,000以上~100,000未満 | 25 | 39 | 64 | 61 |
100,000以上~1,000,000未満 | 10 | 28 | 38 | 74 |
1,000,000以上 | 0 | 9 | 9 | 100 |
(瀧山 森雄)
1)http://kanpou.npb.go.jp/old/20170607/20170607h07034/20170607h070340002f.html
http://www.env.go.jp/press/103705.html
2)http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/193/pdf/s031930521930.pdf
http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170307001/20170307001-1.pdf
http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170307001/20170307001-2.pdf
http://www.meti.go.jp/press/2016/03/20170307001/20170307001-3.pdf