電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
中国製鉛含有玩具事件によって、欧米では鉛検査が厳しくなっているようです。
RoHS指令では、特定有害6物質の含有が意図的、非意図的にかかわらず、最大許容濃未満であることが規制されています。したがって、意図的ではないにしても、この閾値を超える製品への含有はRoHS指令違反となります。
UK RoHS規則では、下記事項を遵守しないときRoHS指令の違反であるとしています。
税関の検査後、当局から当該製品のRoHS指令適合を証明できる技術情報、または適合証明記録などの提出を求められるものと思われます。上記(2)に関して期日までに提出することが必要ですし、当該製品と技術資料を関連付けるトレーサビリティが重要になると考えられます。
しかし、違反となる事例が発生しても、下記のような抗弁ができるようです。
RoHS指令順守のため、企業側の構築・維持している化学物質管理を含む品質保証体制の適切性、有効性が問われています。
いずれにしても、品質保証体制を構築し化学物質管理を徹底するために、管理システムの有効性を継続的に高めていく必要があります。
設計段階での原材料、部材の選定時には組成調査による禁止物質の非含有の確認、購買先選定段階では購入先から非含有証明証を入手しておられると思われますが、生産段階での鉛含有については次のようなことが考えられます(貴社の製品を理解していませんので一般的に述べます)。
金属材料の受入れでは、ミルシート、分析データを取引先から入手して確認することになります。しかし、大量に購入しないときには材料のトレーサビリティが困難なことがあります。
取引先に商社が入ることが多いのですが、材料メーカーの特定、2次加工先が入る場合は材料の管理状態を定期的に調査・監査する方法があります。
金属材料の管理では、材種、材質別に材料メーカーを指定し、安定した供給体制が維持されることが重要なことです。
建浴や補充時のめっき液の違いによる場合が考えられます。めっき液の種類や型番の取り違えがあるので、めっき液、薬剤の受入検査での発注型番と受入型番の確認、在庫時の識別管理が重要になります。
鉛フリーはんだと有鉛はんだの取り違えが考えられます。はんだ材料受入時の型番の確認や生産現場での識別管理を確実にして混在をなくすことです。はんだ残材の混在がないように5Sも必要です。
また、フローはんだでは、はんだ槽の管理が十分でないと鉛濃度が上昇することがあります。
実際の多くのミスは手はんだによるものです。治工具を有鉛はんだ用と無鉛はんだ用に専用化して区分するこや、はんだ材の表示、色分け区分など具体的な作業手順を定めます。
それによる作業者や加工を委託している取引先の教育が有効です。できれば作業エリアを分けるなどは効果があります。
塗料の取り違えと設備・工具に有鉛塗料が残渣として残っていることがあります。有鉛塗料と無鉛塗料の取り違えが考えられるので、はんだの場合と同じく受入れ時の確認と現場での識別管理が重要です。
有鉛塗料を同じ設備ライン、吹き付け工具などで行っている場合には、前作業で行った塗料の残渣が残ることがあります。製品替え時の設備の洗浄など作業管理が大切です。
塗装工程も外部に加工委託する場合が多いのですが、取引先の作業者教育や作業管理の支援も重要な事項です。
以上、管理面に関する観点から述べましたが、自社で蛍光X線分析器を保有し、受入部材や完成品のスクリーニング検査を行えればより確実に管理が可能であると思います。
また、鉛フリーはんだや無鉛塗料への切り替えが可能であれば混入はなくなります。