電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令およびELV指令は対象とする製品のEU市場への上市(製造、輸入)にあたり、特定の化学物質の製品含有を規制(制限)しているところは基本的には同様です。 対象とする製品はRoHS指令では電気・電子製品で、ELV指令は車両です。いずれの場合も廃棄される製品を削減し、部品、材料をできるだけ再使用、再利用するようなシステムを構築することが基本的なコンセプトです(RoHS指令の場合は、WEEE指令が適用対象となります)。
PRoHS指令とELV指令には類似点もありますが、違いもあります。
以下に両指令の類似点および類似しない部分について説明します。
1.製品に含有される特定物質を制限している
ELV指令では鉛、水銀、カドミウム、6価クロムの4物質で、RoHS指令では、ELV指令で対象となっている4物質とPBBおよびPBDEを加えた6物質の製品含有を禁止しています。
2.最大製品含有濃度が定められている
禁止物質の最大含有濃度は、ELV指令およびRoHS指令に共通で、製品ごとの均質材料当たりの最大含有濃度が規定されています。
(1)鉛、水銀、6価クロム、PBBおよびPBDEは0.1wt%以下
(2)カドミウムは0.01wt%以下
3.適用除外項目が指定されている
ELV指令およびRoHS指令ともに、製品性能、機能面から代替材料、代替部品に変更することが困難な場合、製品含有禁止の除外を認めています。
ELV指令の場合は指令の付属書IIに、RoHS指令の場合は指令の付属書に記載されています。これらの除外項目は科学技術進歩の状況に照らして、定期または随時見直しが行われ、除外項目の取消しや追加が行われています。
除外される項目は当然のことながら、対象製品に対する事情により決定されていますので、それぞれの指令では異なっています。
ご質問にあります「電子・電気部品においてRoHS指令適用除外のものは、ELV指令でも適用除外となりますでしょうか。」については、「重量で最大0.3%の鉛を含む鋼材、重量で最大0.4%の鉛を含むアルミニウム、重量で最大4%の鉛を含む同合金」などの材料(鋼材、アルミなど)含有の鉛については両指令に共通に除外されているものもありますが、両指令は対象製品に違いがありますので、基本的には製品中の部品レベルで除外が同時に適用されるものは考え難いと思います。
ただし、2011年には両指令のはんだ規定は類似します。問題は、高融点はんだがRoHSでは除外されていますが、ELVでは除外されていないことです。