電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
貴社の製品がRoHS指令の対象になるかは次のフローに従って判断されます。
第1ステップは貴社の製品が、第3条の電気電子機器の定義の「直流1500Vを超えない定格電圧で使用するように設計され、電流と電磁界を発生させ、伝導、測定するための機器」であるかどうかです。
詳細な仕様は分かりませんので断定はできませんが、貴社の商品が手押しの荷物搬送車であっても電池でモータを回し荷物を上げ下ろしするリフターを搬送車に取り付けているか、もしくは搬送車とセットで販売していれば、上記定義の電気電子機器に該当すると判断されます。
第2ステップはWEEE指令の付属書1の10のカテゴリーに該当するかです。カテゴリーの1、2または6に該当すると思われますが、EU加盟国の監督機関により解釈が異なることが起こることも考えられます。しかし、RoSH指令の対象になると判断し対応策を考えることをお勧めします。
2008年12月にRoHS指令の改定案が公表されました。そこではRoHS指令適用製品カテゴリーが決められ、具体的製品群は拘束的リストとして挙げられますので機関による解釈の相違はなくなると思われます。
次に対応策ですが、具体的には貴社の商品に6種類の特定化学物質を含有させないようにすることが必要になります。
特に、リフターのコントローラに内蔵するプリント基板の実装用半田に鉛を使用していないかなどを確認する必要があります。そして、もし使用していれば鉛フリーの半田に切り替える必要があります。
そして、2008年に施行された電池指令により規制値を超える水銀およびカドミウムを含有する電池、蓄電池およびそれらの電池を内蔵した機器の販売が禁止されるとともに、全ての電池、蓄電池、電池パックに分別回収のためのシンボルマーク(英語のcrossed-out dustbinでゴミ箱に入れてはいけないを意味する)の表示が義務づけられました。
したがって、貴社の商品に使用される電池については電池指令への対応も必要です。電池の購入仕様書に電池指令に適応できることと明記し、適応できる電池を購入するのが良いと思います。
ところで、RoHS指令と電池指令との関係ですが、両指令とも同様の物質の使用を禁止しています。RoHS指令では電気電子機器中の水銀やカドミウムのような重金属の使用を禁止していますが、電池中水銀やカドミウムは対象外で、それらは電池指令で禁止されています。ただし、貴社の商品がWEEE指令の付属書1のカテゴリー6と解釈された場合電池指令第3条16項の定義により「コードレス電動工具」になる可能性があり、第3条3項により適用除外となり、ニッケルカドミウム電池の使用が認められます。