電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令の特定化学物質の最大許容濃度は、均質材料(homogeneous materials)に含まれる特定物質の重量比で決められ、鉛は0.1wt%(1,000ppm)以下に規定されています。
RoHS指令には均質材料の定義はありませんが、欧州委員会から発行されているFAQに明確にされています。このFAQは法的な最終責任はないとされていますが、判断材料とする位置付になっています。
均質材料(homogeneous materials)とは、機械的に別々の材料に分類できない材料で、プラスチック、ガラス、金属、合金、紙、ボード、樹脂、コーティングなどとされています。つまり、機械的に分離できない状態の物質または材料のことをいいます。ここで機械的に分離できないとは、ネジのはずし、切断、破砕、粉砕および研磨などの機械的な操作によって分離できないことをいいます。さらに、「半導体パッケージには、プラスチック成形材料、リードフレームのスズのコーティング、リードフレーム合金および金ボンディングワイヤーなどの多くの均質材料が含まれる。最大許容濃度はそれぞれに適用される」と具体例が記述されています。
ご質問のはんだめっきされたリード端子は、リード端子の線材およびめっき層がそれぞれ均質材料となります。はんだめっき部と鉛フリーとが、はんだ付けにより生成したはんだ接合部も均質材料と考えられます。はんだ付けにより、元来固体であるはんだは、加熱により液体状態で相溶し、接合部が形成されますので、Pb含有率は、接合部のはんだ質量とはんだの中のPbの含有量から計算されます。
以上の考えに基づき、ご質問のはんだ接合部のPb含有率については、以下のように考えられます。
また、鉛フリーはんだとはんだ付けされずに、はんだめっき部がそのまま残るようなことですと、高濃度のPbを含有した均質材料が残り、この場合も、RoHS不適合と判断されると考えられます。
以上、はんだ部位についてですが、電子部品には他の部材がありますので、それぞれの部材の均質材料につき吟味する必要があります。
なお、RoHS指令の附属書に除外となる特定物質の用途があります。これに該当する用途の場合にはRoHS指令の適用が除外されますので、本サイトの「RoHS指令の概要」を参照ください。