電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
欧州委員会(European commission)から、2008年12月3日に発表されたRoHS指令改正案では、現行の6物質「鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、ポリ臭化ビフェニール(PBBs)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDEs)」に新たな物質を追加しないが、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCDD)、フタル酸ジ2-エチルヘキシル(DEHP)、フタル酸ブチルベンジル(BBP)、フタル酸ジブチル(DBP)の4物質を優先して制限物質にするか評価するとする提案がされています。
この改定案の提出を受けて、欧州議会および欧州理事会で検討が続けられ、修正ドラフトが発表されています(2010年3月15日では、結論は出ていません)。
それぞれの修正案には大きな違いがあります。欧州議会環境委員会のJILL EVANS議員から出されている修正案報告(2009年12月14日付)では、欧州委員会の提案の、三種のフタル酸エステル物質に加え、ヘキサブロモシクロドデカンを含めた臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、塩素系可塑剤、およびPVCの7物質を禁止物質と追加する提案になっています。この修正案に対しては、12月の環境委員会で一部の委員会から、将来の物質追加の根拠となる科学的な証拠の必要性が指摘され、懸念が表明されたとの報道があります。
一方、現時点で公開されている理事会の修正案では、欧州委員会改正案で附属書IIIにリストしている優先評価する物質とその決定法について前文に説明するとする議長の提案が記載されています。欧州委員会の改正案と同じく、新たな追加はなく、今後優先して評価されることになっています。
改定の審議日程は、欧州議会の第一読会が2010年5月4日、2010年6月14日に本会議で採決の予定になっています。その後、理事会の審議後、「共通の立場」で採択されることになります。議会と理事会が、異なる修正案を採択しますと、さらに第二読会で審議が続くことになります。
参考資料:
1)欧州委員会提案
2)欧州議会関係
3)欧州理事会