電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令では均質材料に含まれる特定有害物質は最大許容値を超えてはならない、と定めています。一般的なEPROMを分解すると、パッケージ材料(セラミック、樹脂等)、封止材(ガラスフリット)、IC、ガラス、ワイヤー、端子などとなり、さらに均質材料に分解し、それぞれの単位で特定有害物質の含有量を測定して、RoHS指令の適合/不適合を判断することになります。
ただし、RoHS指令の第5条では、以下のような除外要件を定めております。
RoHS指令の附属書には、上述の除外要件を満たす特定有害物質に関する特定用途が収載されています。
お問い合わせの「端子」から検出された鉛については、以下の可能性があります。
(1)端子の材料に使用されている合金に鉛が含まれていた。
(2)端子の最外面が鍍金処理されていて、はんだ鍍金に鉛が含まれていた。
(3)EPROMの部品同士の封着や絶縁に使用されているガラスフリットに含まれている鉛が流出した(お問い合わせのケース)。
(1)のケースでは、合金成分として、鋼材に含まれる重量比0.35%までの鉛および銅合金に含まれる重量比4%までの鉛は除外対象となります。
(2)のケースでは、はんだ鍍金に含まれる重量比0.1%までの鉛は除外対象となります。
(3)のケースでは、ガラスフリットも均質材料とみなされます。
ガラスフリットに関連する除外項目としては、#5の「ブラウン管、電子コンポーネント並びに蛍光管のガラスに含まれる鉛」が該当します。英国のガイダンスでは、具体的に封止用ガラスが除外されるとの記載はありません。適用除外の解説では、「電子部品に用いられるガラス中の成分としての鉛」とだけ説明されています。
2009年2月にÖko-Institut e.V.により提出された除外項目の見直し報告書では、「電子部品に用いられるガラス中の成分として」の鉛を代替する物質はまだ見出されていないとしています。ただ、これまでの除外項目の適用範囲の記述は広すぎるので、除外の適用範囲を明確にするために、現在の上述の除外を3項目に分割し、電子部品に使われるガラスについては、以下のように修正することを勧めています。
:電子部品用のガラスに含まれる鉛」の除外項目の記述の修正勧告案
「2014年6月31日まで、ガラスまたはセラミック中、あるいは、誘電体以外のガラスまたはセラミックマトリックス中に含まれる鉛を含む電子、および、電気部品、2015年1月1日以前に上市され、その修理部品または再使用」
この記述からしますと、封止用のガラスフフリット中の鉛は、適用除外と考えることができます。
ここまでをまとめますと、以下のような結論となります。
ガラスフリットに鉛が含まれている場合は、除外対象となります。
なお、既存の除外項目の見直しと新規の除外項目の検討が、2009年11月から1年間の予定で行われています。この最終報告の草案が、2010年11月までには出される予定です1)。
この中で、上述の勧告修正案では除外が期限付きになっていますので、今後の動向にはご注意ください。