電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令の改正案は欧州議会において審議中で最終決定されていません。ここでは欧州議会「環境、健康、食品安全委員会(6月2日)」で、欧州議会ラポーター(Jill Evans議員)の審議案が賛成多数で可決されていますので、この審議案に基づき適用範囲の概要について回答します。
(a)すべての電気・電子機器
(b)ケーブル、消耗品、アクセサリー
すべての電気・電子機器をRoHS指令の対象にすること、および現行RoHS指令では適用外となっているケーブル、消耗品(例:トナーカートリッジ)、アクセサリー(例:デジタルカメラ交換レンズ)にも適用するよう提案されています。
具体的には現行RoHS指令ではWEEE指令の適用範囲10製品群のうち、カテゴリー8(医療用機器)とカテゴリー9(監視および制御機器)を除く電気・電子機器を対象としていますが、審議案ではカテゴリー8および9を含め、さらにカテゴリー11として「10製品群以外の電気・電子機器」が新しく附属書に加えられました。すなわち、10製品群から11製品群にしてすべての電気・電子機器を適用範囲にしています。
審議案では、すべての電気・電子機器を対象にする考えを採用した上で、以下のものが適用除外となっています。
(i)輸送用、大型据付設備、大型据付産業用工具
(ii)再生可能エネルギー技術を利用するシステム、組立品
(iii)研究開発用装置(研究開発用に特別に設計され製造または輸入され、一般大衆向けに販売されない装置)、オフロード移動体、宇宙用機器
審議案で適用範囲として提案された医療機器(Cat8)と監視および制御機器(Cat9)並びにケーブル、消耗品、アクセサリー(Cat11)に対する特定有害物質の非含有義務の適用時期は以下のように段階的になっています。
2014年1月1日 医療機器、監視および制御機器
2014年6月1日 ケーブル、消耗品、アクセサリー
2016年1月1日 体外診断医療機器
2017年1月1日 産業用監視および制御機器
2020年 見直し 能動型植込医療機器(当面除外)
現行の禁止6物質に加えて、新たにナノ物質を禁止物質とする提案がなされました。
(a)Nanosilver(銀ナノ粒子)
(b)Long multi-walled carbon nanotubes(カーボンナノチューブ)
さらに環境委員会では、ハロゲン化難燃剤とPVCなどの物質については、電気・電子機器の安全な使用のため、安全性評価のさらなるレビューが必要であると提案しています。
今後、今年10月の本会議で採択される予定ですが、理事会での採択の動向について現在は情報がありません。理事会で議会修正案が採択されなければ、第2読会が行われ、最終採択が冬になる可能性があります。したがって、審議の結果により上述の内容が変更されることもありますのでご了解ください。
本件につきましては、6月11付けコラム「改正RoHS指令の議会の動向」、本件に関する議会プレスリリースをご参照ください。