電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
製品の企画・開発・設計・調達・生産・販売・使用・アフターサービス・廃棄に至るまで、製品のライフサイクル全体で環境に配慮したモノづくりが本来のあるべき姿といえます。
特に設計段階は環境配慮の度合いを決定付ける重要な段階です。規制対象の特定有害物質を含有している可能性を設計時点で認識していれば、他の環境に配慮した代替材の検討や生産方法の変更など、設計変更により環境への悪影響を少なくすることが可能となります。
環境配慮設計が行われていれば、調達や外注管理段階においても、特定有害物質が非含有であることが契約内容に入ることになり、発注依頼者、発注先の双方で、特定有害物質の非含有を保証する仕組みを構築することになります。
大手セットメーカーがサプライヤーと取り交わす取引基本契約書(覚書)には、以下の事項を盛り込んでいる事例が多くあります。若干一方的な面もありますが、参考になる内容です。
覚書に記載される主要項目をつぎに示します。
原材料として特定有害物質を使用していなくても、生産プロセスで生成・混入の可能性があります。生産プロセスを保証し、相互で確認するためにはSOP(標準作業手順)をつくり、その手順に従えば特定有害物質が非含有となることを審査し、定めておくことが有効です。生産時はその手順に従っていることを記録として残し、必要時には顧客に開示することになります。
また、QC工程表には特定有害物質を非含有とするための管理ポイントを明記しておき、確実に実施するようにします。基本取引契約書に関する情報はQ&A108にも掲載されていますのでご参照ください。
部材によっては、貴社が発注先を選定する場合もあるかと思います。貴社は部品発注先に対して納品時に非含有証明書の添付を義務付け、その情報を貴社内の情報とあわせ、川下メーカーに伝達することになります。
規制対象の特定有害物質分析の基準については英国のRoHS Regulations Government Guidance NotesのANNEX Dに示されており、参考になります。ここでは"サプライヤーのRoHS対応力"や"部品に特定有害物質が含まれるリスク"に応じた分析の基準がフローチャート形式で解説されています。当然ながら、RoHS対応力の低いサプライヤーからの部品や特定有害物質含有リスクの高い部品ほど、高頻度で分析する必要があります。一般に小規模企業ほどRoHS対応力の低いことが多いので、小規模企業と取引する場合には貴社自らが測定、QC工程表の作成支援・配布、現場での監査などを行うことにより、特定有害物質非含有を保証する仕組みづくりも必要となります。