電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
現行RoHS指令および2011年7月1日に公布された改正RoHS指令(2011/68/EU) による電気電子機器の定義は、「正しく作動するために電流または電磁界に依存する機器であって、さらに交流1000V、直流1500Vを超えない定格電圧で使用するよう設計され、そのような電流と電磁界を発生、伝導、測定するための機器を意味する」となっています。
工具本体と電池パックによるハンディタイプの電動工具は、電池電源により作動するものですから、カテゴリー6の電気電子工具に該当するのでRoHS指令が適用されます。
充電器は、商用電源から充電用の直流電源をつくり出し電池に電気を貯めこむ機能ですので、電気電子機器に該当すると考えられます。
現在、改正WEEE指令が検討されていますが、議会の第一読会 (2011年2月3日議会採択)の修正案の附属書IB (カテゴリーごとの非網羅的製品リスト) に充電器に該当する以下の記載があります。
「Small appliances for generating or transferring current〔e.g. generators, battery chargers, uninterruptable power supplies (UPS), converters〕」
「発電または変電のための小型機器〔例えば、発電機、バッテリー充電器、無停電電源装置(UPS)、コンバータ〕:回答者訳」
電池については、改正RoHS指令の前文第14項に「本指令は、安全と健康の要求事項に関するEU法令と特定のEU廃棄物管理法令、特に電池および蓄電池に関する2006年9月6日付け2006/66/EC指令を侵すことなく適用されるべきである(中略)」と明記しています。 その電池に関する法令である2006年9月に発効した改定電池指令(2006/66/EC)では、前文第29項に「電池はRoHS指令の対象とはならない」と明記しています。ここでの電池および蓄電池は化学電池のことです。
以上の通り、電動工具および充電器はRoHS指令およびWEEE指令の適用対象となります。RoHS指令の適用対象外の電池は、WEEE指令による回収後は電池指令が優先されます。
工具本体、及び充電器を製品セットとして販売する場合はRoHS指令の対象であり、充電器を単体で別売りの場合も、充電器そのものがRoHS指令の対象となります。
別売りされるスペアパーツも適用対象になりますが、2006年7月1日以前に上市した機器の修理、グレードアップ用スペアパーツは適用対象外となります。
2011年9月2付けコラムもご参照ください。