電子・電気部品に関する欧州の環境規制(RoHS指令)について紹介
RoHS指令と電池指令は、どちらも環境の保護を目的にして、電気・電子機器や電池に有害物質の含有を制限するものとして制定されています。EUでは、法規制は他の規制法の適用されてない部分について規制するという補完関係で運用されます。
電池指令は、「電池」機能を発現するために使用する化学物質中の有害物質の含有を制限しています。付帯的に使用されているご質問のリード線等は、電池指令の制限条項が及ばないという解釈は可能かもしれません。
電池指令の第11条(使用済みの電池及び蓄電池の取り外し)で、廃電池は容易に取り外すことを義務化していますが、安全上、能力上、医療上またはデータ保全上などの理由により、連続した電源の供給が必要であり、機器と電池または蓄電池との間に永続的な接続が必要な場合には取り外し義務は除外となります。
この条項からは、電池と電池接続部を明確に分離して規制しています。
貴社の製品の構造は理解できていませんが、電池指令の「対象」は電池で、その他の構成製品は、RoHS指令により規制を受けると思われます。
出力用リード電線と電池で構成される貴社製品は、電池は電池指令で規制され、リード線部分は1500V以下で動作する電気電子製品とも解釈できます。
改正RoHS指令第3条では、「電気・電子機器」は次の通り定義されています。
すなわち、電池と電気電子機器を接続するリード線は、必要な電気を機器に供給するために必須のものです。この視点からは、例えリード線が電池と一体化して販売されている場合でも、RoHS指令を順守していることが必要と考えます。
また、改定RoHS指令の4条では、ケーブルは規制の対象になると定められております。したがって、ケーブルの1種であるリード電線も改正RoHS指令の対象になると考えられます。
改正RoHS指令は、2013年1月3日から施行となりますが、改正RoHS指令の適用が条文中に明記されましたケーブルや修理用部品につきましては、現時点でも対応が必要と考えます。
なお、国家の安全保障のために用いられる電気電子機器にはRoHS指令が適用されません。これらの機器に用いられる電池と一体化されたリード線については、電池そのものも電池指令は適用されませんので、リード線もどちらの指令も適用されないと考えることができます。